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あの人も、家で瓶ビールを楽しんでいます。Vol.2:三宅瑠人「仕事の息抜きに、束の間の乾杯」

今では居酒屋やレストランなど、一部の飲食店でお目にかかることのできる瓶ビール。生ビールや缶ビールが一般的な時代においても、手酌でグラスに注いでちびちび味わったり、仲間とお酌し合ったりして飲み進めるこのスタイルには、特別な魅力があるものだ。関東・関西・九州に店舗を展開する酒専門店〈カクヤス〉が「瓶ビールの無料宅配サービス」を通じて提案するのは、家で瓶ビールを楽しむ豊かな時間。雑誌や広告などで活躍するイラストレーターの三宅瑠人さんも自宅での作業の合間、瓶ビールでのささやかな一服を楽しんでいた。

photo: Kenya Abe / text: Emi Fukushima

ビール瓶の佇まいが、食卓の風景を豊かにする

さまざまな色や形の草花に、野菜や果物、鳥をはじめとする動物など、身の回りのごくありふれた自然物を繊細で鮮やかに描き出すのがイラストレーター、デザイナーの三宅瑠人さん。妻で仕事を共にする岡崎由佳さんと一緒に自宅の一角に仕事場を設け、日夜さまざまな仕事に向き合っている。共にフリーランスで活動をする2人であるがゆえ、日中はデスクを並べて互いの作業に集中し、ひと区切りついたらどちらからともなくキッチンへ。手が空いた方が夕飯の支度を始めるというのが、夫婦のルーティンだ。

「お互いにお酒が好きなので、だいたい毎晩、夕飯時になると飲んでいます。料理を始めると同時に飲み出すことも多くて、煮物などを作っている間の待ち時間には、次の仕事の資料や本を読みつつちびちびやることもありますね。ビールとワインが中心ですが、最近は簡単に炭酸水を作ることができるカーボネーターを買ったので、クラフトジンをソーダ割りにして楽しむことも増えました」

ビールを飲むイラストレーターの三宅瑠人さん
ビールであればどんな銘柄も飲むとのことだが、キレのある味わいのものが特に好み。

さまざまなお酒のラインナップの中に、時折瓶ビールが登場することがある。「瓶ビール特有の味わいが好きだというのもありますが、一番は、ビール瓶が並んでいる食卓の絵面(えづら)に惹かれます。テーブルに佇んでいるだけで特別な風情が出るからか、目の前の料理を一層美味しく感じたり、食事の時間が一層楽しくなるような気がするんですよね」と三宅さん。味覚のみならず、視覚的に楽しむところは、日々“絵”と向き合うビジュアルのエキスパートならではだ。


書籍の装画や雑誌の挿絵、そしてブランディングやテレビ番組のロゴ制作などの幅広い仕事を抱え、忙しない日々を送る三宅さんゆえ、夕飯と晩酌を終えた後には再びデスクに戻ることも。しかし合間に一服を挟んだことによって、かえって仕事が前に進むこともあるのだとか。

ビールを注ぐイラストレーターの三宅瑠人さんのお気に入りはハートランド
本格的に飲み始めた夜は、音楽を聴いたりドラマを見たりしながらゆっくりとした時間を楽しむ。

「特にロゴや本の表紙ビジュアルみたいに、自由度が高くて発想力が必要になる仕事に向き合う時は、アイデアが浮かばずに行き詰まることもあります。その最中に、夕飯と一緒に夫婦で一本だけ瓶ビールを空けたり、本を読んだり音楽を聴いたりする時間を挟むと手がかりが見えてくることがあって。良いリフレッシュになっています。もちろん、お酒に頼ってばかりいるようではダメなんですが(笑)」

一本を分かち合うと、互いの距離がグッと近づく

イラストの仕事を始めたのは、東京藝術大学在学中。以来、さまざまなプロジェクトを経験する中では、ビールにまつわる仕事に携わる機会にも恵まれた。2015年に、キリンのハートランドのプロモーションの一環で実施されたアートプロジェクト『SLICE OF HEARTLAND』で、三宅さんはイラストのディレクションを担当した。

そんなハートランドは、今でも三宅さんの愛飲瓶ビールの一つ。「仕事で関わったハートランドは、ライトな飲み心地と、瓶の独特なサイズ感からいまでもお気に入りの銘柄です」

また夫婦のみならず、気心の知れた仲間たちと複数人で瓶ビールを囲む時間も楽しみの一つ。例えば先日、出張で名古屋に赴いた際には、仕事仲間たちとお酌をし合いながらお互いの労をねぎらった。

「2日間のハードなスケジュールをこなした後だったので、ご褒美に地元の名物で贅沢をしようと、みんなで鰻屋に行きました。昔ながらの風情ある店構えに誘われて瓶ビールを頼みましたね。瓶ビールだと、その場に居合わせたみんなで飲んでいる感じが増すところがいいんですよね。

『最初はとりあえず一本空けようか』っていうところから始まって、誰か一人が物凄い勢いで飲めば『全然足りないからもう一本』となったり、『まだ飲みたい人がいるなら、もう一本頼んだら?』とどんどん追加されていく。良い意味で一緒に場を囲んでいる人によって飲む量を左右されるところが、生ビールはもちろん、他のお酒や飲み方にはあまりないところ。仲間内のコミュニケーションをより密にしてくれるような気がします」

創意工夫に富んだ料理と共に、友人たちと最高の乾杯を

友人たちとの宴は、時折自宅でも行われる。その日集うメンバーに合わせた料理を作り、それに合うお酒とともにみんなで味わうのが、三宅家なりのホームパーティの楽しみ方だ。

「海外から日本に来たばかりの友人を家に招いた時は、唐揚げを中心にした和食を作ってビールと一緒に楽しんだり、料理家の友人が来た時は、旅先で出会った珍しい料理を自分たちなりに再現してみて、それを説明しながら現地の食の話をしたり。作ってみること自体が面白いので、遊び感覚で料理を用意しています」

ビールを注ぐ様子
愛用するグラスは、友人の雑貨店で購入したグラス。南米から買い付けられたもので、少し歪な佇まいと安定感のある厚めの飲み口が気に入っている。

なかでも一時期ハマっていたのが、がんもどきを手作りして振る舞うこと。そのお供に選んだお酒こそ、瓶ビールだったそう。

「豆腐をミキサーで潰して、調味料や具材を混ぜて、揚げるだけ。複雑な工程はないんですが、枝豆を入れたり、生姜を入れたりと、適当に好きな具材を入れられるのがすごく楽しくて。そんながんもどきパーティーには、和っぽい食卓の雰囲気も演出してくれる瓶ビールがピッタリはまっていました」

互いのグラスの空き具合を確認しながら、注ぎ合うという行為もまた複数人で囲む食卓を楽しく盛り上げてくれるもの。「瓶ビールは案外手に入りづらいので、今までは登場機会が限られていましたが、宅配してくれて、瓶の回収までしてくれる〈カクヤス〉の宅配サービスを利用すれば、もうちょっと気軽に楽しめそうですね。次に友人たちを家に招く時には、瓶ビールに合わせた料理をテーマにするのも面白いかも」と三宅さん。瓶ビールは、今後ますます三宅家の食卓の風景を豊かに彩ることだろう。

BRUTUSロゴの入った瓶ビール

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