全宇宙ラジオがコンセプトの新作を携え、ジョン・バティステ登場
ジョン・バティステ(以下JB)のようなジャンルに収まらない破格のアーティストの場合、あまりに桁外れで訳がわからないという声をたまに聞く。そこで今回は本人に、彼の音楽的な輪郭を語ってもらった。
優れた音楽家は一つのジャンルじゃ語れない
BRUTUS
まず、あなたに影響を与えた音楽体験を教えてください。
JB
ありすぎて難しいけれど、1つは11歳の時に母がクラシックピアノのレッスンに通わせてくれたこと。ここが僕のピアニストとしての原点。
といっても当時はビデオゲームにハマっていて、BGMを耳コピーして弾けるようになったことが一番嬉しかったんだけどね(笑)。
2つ目は14歳の時にアルヴィンおじさんのバンド、アルヴィン・バティスト&ザ・ジャズトロノーツに参加できたこと。
あのバンドはアメリカンルーツからフリージャズまで何でもできて、彼らのそんな姿勢に感銘を受けたんだ。あの体験は僕の背中を押してくれたし、余計なものから解放してくれたよ。
そして決定的な出会いになったのが、高校生の時に観たブライアン・ブレイド&ザ・フェローシップのライブ。
すごいメンバーが持てる能力のすべてを捧げて生み出すコレクティブなバンドサウンドは、音楽を超えた精神性を感じさせてくれた。音楽の可能性を示してくれたと言ってもいい。この3つはいずれも、今のジョン・バティステにとって欠かせない因子だよ。
BRUTUS
では、アーティストとして大切にしていることは?
JB
自分が今、何をしているか、自分は何をやりたいのかを、はっきり自覚すること。もちろん完璧に自覚することは難しいが、そうしようという意志がとても大切だと僕は思う。
かつてデューク・エリントンが「優れた音楽家はみな、オリジナルを持っている」と語ったように、才能豊かなアーティストはジャンルの枠じゃ語れない。
ロバート・グラスパーがグラスパーとしてしか語れないように、僕も常にそういう存在であろうと思っているよ。