ジャズが生み出した、21世紀最高の音楽家。
弱冠20歳の時に史上最年少でバークリー音大の講師に就任。ドレイクとジャスティン・ビーバーを抑えてのグラミー賞最優秀新人賞を受賞。通算5つのグラミー賞の獲得。ハーヴァード大学の教授に就任。エスペランサ・スポルディングの功績を挙げればきりがない。
ベースを持てば、どんなに複雑なリズムでもいとも簡単に弾きこなし、その魅力的な声で高音域をしなやかに歌い、作曲家としてはこれまで誰も聴いたことがなかったような高度かつポップな楽曲を書く。
彼女が書いた曲は歌うことも、演奏することも、彼女にしかできないもの。彼女自身が行うことでエスペランサ・スポルディングの音楽は完成する。いつしか彼女は誰とも比較できない孤高の存在になっていた。
ロバート・グラスパーは彼女に対して「同じ時代に彼女がいてくれることは幸運なことだ」とさえ語った。彼女に対しては“ジャズという音楽が21世紀に生み出した最高のミュージシャン”程度の賛辞では物足りなく感じてしまう。
できることはやりつくしたように見える彼女だが、その歩みを止める気配は全く見えない。近年は音楽療法への関心や日本やインドをはじめとした東洋の文化や思想への傾倒を作品に反映させるべく、スピリチュアルな音楽に挑んだかと思えば、2023年にはブラジルの先住民の権利保護やアマゾンの環境破壊へのプロテストソングを発表。その一挙手一投足が常に世界を驚かせ続けている。