「いいもの」を追い求めてたどり着いた、革新的なデザイン
いきなりではあるが、このバックパックの重さはなんと360gと、ものすごく軽い。バッグを触ってみればわかるが、プロダクト名の通り「フワフワ」とした空気のような柔らかさだ。
〈GOOD GOODS ISSEY MIYAKE〉は、ものと使う人の関係性を基点に、「いいもの」の本質を探求するというコンセプトのもと2018年にスタート。同年には、東京・代官山に吉岡徳仁がデザインしたショップをオープンした。
その後、一本の糸から編み上げた無縫製のニットバッグ「MOKKO」や現代建築に用いられる折りの構造をジャカード編みで表現した「TATAMI」など、新しいデザイン&製法のオリジナルプロダクトを数多く打ち出してきた。
そんな〈GOOD GOODS ISSEY MIYAKE〉の個性的なラインナップに新たに加わったのが「FUWA FUWA」だ。
計算し尽くされた、究極にシンプルなデザインパターン
個性的なデザインもさることながら、特筆すべきはそのパターンである。上の「FUWA FUWA」が作られる工程のシークエンスを見てもらえば分かるように、「FUWA FUWA」はたった一枚の長方形の布をねじって縫い合わせるというシンプルな製法で作られている。これは野良着やもんぺのような、生地を無駄にしないものづくりから着想を得たという。
形作られるまでの手順を説明すると、まずオリジナルの反物に、持ち手やポケットなどのパーツを縫う。反物上に設えられたベージュの四角部分はそれぞれ内ポケットになる計算。
次に、写真の左から二番目に注目。布の二箇所にねじりを加えている。ちょうどセンターのねじった部分がバックパックのTOPに来て、ギャザーはフラップ(蓋)に。そして一番下のパーツが底の部分に当たる。
さらに右隣の工程に移ると、ねじれがバッグとしての形を作るだけでなく、ギャザーとなり、ふわりとした柔らかな質感を生み出していることが分かる。ベージュの内ポケットの位置なども、あるべき場所に収まっている感じ。あとは、持ち手を作ったら完成。
最後に写真右端が完成型。一枚の長方形の布が、柔らかいラインを描くバックパックへと生まれ変わっている。
一枚の布を余すことなく使う無駄のない設計で、十分な容量を確保しながらも、見た目以上に軽く使いやすい。これこそが素材やパターンにおけるイッセイミヤケの技術力であり、故に新しいデザインを生み出していることの証明だ。
使う人とものとの関係性を探求するグッドプロダクトに今後も注目
「FUWA FUWA」に使われているパーツのほとんどは、リサイクル可能なポリエステルで作られており、ファスナーなど反物以外の素材も最小限に抑えられている。またベースとなる反物も余剰分が出ないよう限定的に作られたオリジナルファブリックのため、製品数が限られたスペシャルなプロダクトなのだ。
〈GOOD GOODS ISSEY MIYAKE〉が提案するのは、ものがもたらす体験を大切に、人々の生活をよりよくするものづくり。〈イッセイ ミヤケ〉らしいウィットに富んだ発想で生まれた「FUWA FUWA」はまさに、個性的なデザインながらユースフルな、ブランドのコンセプトを体現した逸品と言える。まずは“フワフワとした”、その触り心地を実際に感じてみてほしい。
GOOD GOODS ISSEY MIYAKE
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