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モードな虫図鑑。Dung Beetle【フンチュウ】
photo: Tetsuya Ito / text: Shogo Kawabata
もう、「なぜ⁉」の嵐だ。どうして、そんなふうになろうと思ったのか。人知を軽く超えていくその御姿を前に、我々はただ、その真理に思いを馳せるしかない。虫ってほんとに素晴らしい、あゝ。
本記事も掲載されている、BRUTUS「珍奇昆虫 BIZARRE INSECTS HANDBOOK 2」は、2024年7月16日発売です!
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武骨でいぶし銀なフンチュウたちが大集合
3年前の「珍奇昆虫」特集では表紙を飾るなど、大フィーチャーされたフンチュウ。糞を食べている昆虫だが、その姿は立派な角やきらめく体色でファンの多い種なのだ。キラキラだった前回のフンチュウたちとは打って変わって、今回はいぶし銀な魅力を持つ種をメインに紹介。
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Athyreus championi
南アメリカの熱帯雨林で繁栄するムネアカセンチコガネの仲間で、長く発達した胸角が特徴的。ムネアカセンチは地面に深い穴を掘り、植物の根に共生するキノコ類を食べている。標本体長21.2㎜。
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Lethrus scoparius
草食性の飛べないフンチュウ。深い巣穴を掘り、オスは歩くのも困難に見えるほどに下向きに大きく伸びる大顎で激しく戦う。一方、メスは大顎が小さい。ウズベキスタン産。標本体長32㎜。
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Ceratocanthus sp.
シロアリの巣の周囲に棲(す)み、危険を感じると脚や頭部を畳んで球体にトランスフォーム!頭がきれいに収まる姿は、なんとも愛らしい。本種はマンマルコガネの仲間としては特に巨大。パナマ産。標本体長11.5㎜。
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Blackburnium cooperi
オーストラリアの砂漠地帯には、角が複雑に発達した変わったムネアカセンチが多数生息している。生態も特殊で、メスは体重の半分以上にもなる巨大な卵を産み、幼虫は何も食べずに成虫になる。標本体長21.2㎜。
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Omorgus gigas
鎧竜(よろいりゅう)のようなトゲ状突起を持つコブスジコガネの最大種。体表は砂色の分泌物に覆われる。ケラチンというタンパク質を好み、夜間に干からびたカンガルーの死体などをかじる。オーストラリア産。標本体長27㎜。