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破損修理から保管方法まで。知っておきたい、昆虫標本のメンテナンス術

昆虫標本を扱っているとどうしても起こってしまうのが、標本の破損。箱から針を抜き刺しする際にうっかり何かに当たってしまったり、運搬の時の振動で、触角や脚がポロリ!なんていうのもよくあること。そんな時の対処法を、標本作家の福井敬貴さんが教えてくれた。


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photo: Tetsuya Ito / text & edit: Shogo Kawabata

教えてくれた人:昆虫標本作家・福井敬貴

繊細な触角や脚は、いつの間にか外れてしまうことも。またツノゼミのように特別脆い虫も破損しがち。それでも、きちんと補修すれば美しく元通りに!

Before

After

破損修理

箱から標本を出し入れしたり、箱ごと運搬中の振動で破損してしまうのがよくあるパターン。でも、ご安心あれ。外れた部位さえなくさなければ、たいていは元に戻せる。

脂抜き方法

標本は体内の油脂成分が表面に滲(にじ)み出て色が変わったり、展足が崩れてしまうことがある。その場合はアセトン、ベンジン等の有機溶剤を用いて脱脂を行おう。

アセトン等に標本全体を浸す。ポイントは虫の大きさに合わせて容器を用意し、少ない量の溶剤をこまめに換えること。溶剤は危険性が高いので、扱いには十分気をつけて行うようにしよう。

保管方法

多湿でカビや虫害が発生しやすい日本では、いつの間にかカビが生えたり、虫食いでバラバラになることも。密閉性の高い容器や防虫剤で対策したい。定期的な交換も忘れずに!

知っておきたい、標本の運搬方法

箱の中で標本が回転してぶつかり、破損することを防ぐため、持ち運ぶ際は“留め針”で標本を固定しよう。針刺し標本の場合は虫の体部分を、台紙標本の場合は台紙のサイドを固定。大型の昆虫は針を交差させ、押さえつけるように刺すことでしっかりと固定できる。

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