砂漠の強烈な紫外線にさらされて育つ乾燥地植物。その魅力は野性味や寂びた風情だろう。
「以前は、例えばナミビアや南アフリカに自生するサルコカウロンの珍奇な風貌を、日本の環境で再現するのは難しかった。それが太陽光より強いLEDを使うことで、室内でも自生地に近い姿に育てられるようになったんです」
そう話すのは園芸家のShabomaniac!さん。植物を種子から野生株のように育てて、自生地の風景を再現する“ハビタットスタイル”を提唱し、LED栽培を取り入れている。自室の棚に並ぶのは、野生株さながらのサボテンや多肉植物。色もフォルムも種子から育てたとは思えないほどだ。
それらを真上から照射するようにLED照明数台と冷却ファンを取り付け、室温は夏も冬も20~28℃程度をキープ。照射時間は8時半から20時半までに自動設定し、一日の半分は夜の環境を作っている。
LED

Anacampseros quinaria ssp. alstonii
自生地はアフリカ南部のナミビア。一時期アボニア属とされていたが、最近アナカンプセロス属に戻った。
LED栽培で種から育てて4年目。塊根(かいこん)の上に芝生を刈り込んだような茎葉(けいよう)が密生した姿は、野生株に近い。
自然光

Anacampseros quinaria ssp. alstonii
LEDで育てた後、自然光栽培に変えた鉢。葉が伸びて姿も激変!土は赤玉、軽石、ペレット養土の混合。
「一般的な栽培と大きく異なるのは灌水。強い光で土がすぐ乾くので、定期的に水をたっぷりやるか、植物によっては腰水で栽培します」
給水と乾燥を頻繁に繰り返すことで、自然光下ではあり得ないほどのスピードで生長することも。
「植物ブームに伴う野生植物の乱獲に歯止めをかけるためにも、植物を種子から育て、野生株に負けない魅力的な植物を育てる人が増えたらと思います。その意味でもLEDの力は大きいですね」