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インドネシアのシティポップバンド〈イックバル〉。メロウでアーバン、山下達郎“愛”に溢れた曲に注目!

フェス、キャンプ、ビーチ、プール。もうすぐ夏がやってくる。素敵なサマーにつきものなのは、極上な音楽。でも音楽の海は広大すぎて溺れかけるから、梅雨空の今のうちに、たくさんの音楽に触れておきたい。偶然の出逢いが、この夏を最高にしてくれる。きらめく音楽がきっと見つかる。

photo: Koh Akazawa / text: Kosuke Ide

昔から「外国でウケる日本の音楽」といえば、一部のジャポニスム的な音楽か、オルタナティブ/インディな文脈に基づくある種の特殊性を持つものと相場が決まっていたわけだが、そんな時代をはるか過去へと追いやる新世代バンドが、意外な国からやってきた。

インドネシア出身の4人組〈イックバル〉は山下達郎や角松敏生など日本の80sアーバンサウンドに強い影響を受けたシティポップバンド。メンバーは全員20代。インドネシアでなぜシティポップ?早くも来日3度目の公演となる彼らに直撃インタビュー!

「昔からインドネシアでは日本のアニメやドラマがテレビ放送されていて、子供の頃からJ-ポップのキャッチーな音に馴染みがあったんだ」と語るのはリーダーでソングライターのムハンマド・イックバル。

「シューゲイザー系のインディな音楽を聴いていたけど、大学生の時、友人がiPodで山下達郎の曲を聴かせてくれたんだ。すごい、と思って大好きになったよ。それで幼馴染みだった2人とバンドを結成して、後からリズキも参加してくれた。音源を作ったら、それがあるミックステープサイトに取り上げられてね。その音源を聴いて日本から連絡をくれたのが、今の僕らのマネージャーである池田さんだったってわけ。それから交流が始まって、彼の友人のDJから、日本のシティポップの音楽が入ったミックステープをもらったりして、ますますハマっていったよ」

恐るべしIT社会。すべての情報が時間も空間も超えて並列にアクセス可能になった時代に生きる彼らにとって、シティポップは「ぜんぜん古いなんて思わなかった」とか。「音楽にはバリアがないし、達郎さんのような天才が作る音楽であればなおさらだね」。

欧米のロック、ポップス、ブラックミュージックの影響もブレンドしたオリジナル曲のクオリティは高く、日本でもさらに人気を集めること間違いなしだ。「今年、1人で日本に来て初めて山下達郎のライブに行ったんだ。感動して涙が出たよ」と話すムハンマドの横で、ドラマーのバノンは「やべえ、聞いてるだけで鳥肌立ってきちゃった!」。

イックバル推薦!
シティポップ名盤。