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二俣公一×津田 直×藤戸 剛。男3人で行く雲仙温泉1泊旅

温泉といえば、家族、恋人と……。否、男の旅の目的地でもいいではないか!雲仙温泉1泊男旅、何を観るか、何を語るか、どう浸かるか。

photo: Satoshi Nagare / text: Ai Sakamoto

人と人の距離を近くする
クラシカルな老舗ホテル

男旅に今回、参加したのは、二俣公一さんと、友人の津田直さん、藤戸剛さん。訪れたのは1935年開業の〈雲仙観光ホテル〉。山小屋を思わせる外観が美しい老舗ホテルで、建築や歴史に触れながら温泉を楽しむという趣向である。

2004年から8年にわたり順次改修された宿が目指したのは、原点回帰。客室や浴室といった既存設備を改修しつつ、開業当時あった図書室やビリヤード室などクラシックの名にふさわしい空間を復活させた。長い歴史が生み出す世界観を損ねることなく、必要な改変を加えていることに、皆感心しきり。話は、雲仙にこの建築がある必然性や、伝統ある建物をいかに保存するか?まで広がる。

ここで楽しめるのは、皮膚に良いとされる硫黄泉。その湯に浸かりながら、ドーム天井やアーチ窓に目を奪われたり、湯の鉄分の強さに驚いたり。「個性がまったく違う3人だから、話していて面白いんですよ。常に新しい発見がある」と藤戸さん。男旅のモチベーションは知的好奇心らしい。

〈雲仙観光ホテル〉浴室
ドーム型天井とアーチ窓、ステンドグラスが配された浴室。泉質は酸性・含鉄・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩泉。

そんな状態が少し変化したのは、バーでのこと。肩の力がすとんと抜け、周囲の空気に包まれる一瞬。「バーに入った時、何かのスイッチが切り替わり、互いの距離がより縮まった気がします。濃密な話をするために作られた空間だからでしょうね。設計者の思いが伝わってくる」(二俣)。結局、バーでも話し足りなかった彼らは、客室のベランダで午前2時まで立ち話。「一緒に湯に浸かったせいか、温泉のごとく話題もどんどん湧いてきて(笑)。男3人でも十分楽しめる包容力が、このホテルにはある気がします」(津田)

元来、温泉と書いて“うんぜん”と読まれていた、この地。プリミティブな温泉体験は、人と人との距離をグンッと近くする。

ジオパークで“長い水の旅”の一端に触れる

「少し山を下りて、水に触れに出かけませんか?」。津田さんの言葉に誘われ一行が向かったのは、島原市にある〈湧水庭園 四明荘〉(1)と、普賢岳の麓にある〈内野湧水〉(2)。

前者は大小3つの池に1日約3,000トンの水が湧出する庭園で、後者は良質の水がこんこんと湧き出る水源。「山に降った雨が長い時間をかけて湧水になったり、温泉になったり。そんな水の旅を体感できるのが島原半島のスゴイところだと思います」(津田さん)

雲仙地獄
ホテルから徒歩10分ほどの雲仙地獄。地中から噴き出す蒸気と熱気、硫黄の香りが立ち込める。雲仙温泉の源泉。津田さんと藤戸さんは、ここで早朝散歩を楽しんだという。