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【2.1怖〜2.5怖】読み進めるほどに怖くなるホラーガイド444

映画やドラマから、アニメ、怪談、小説、漫画、ゲーム、YouTube、お化け屋敷まで。日々怖いものを追い求めるマニアたちが全ジャンルのホラーの名作を厳選し、その怖さを1.0から5.0の41段階で判定!読み進めるほどに怖くなる究極のホラーガイド、スタート。

text: Kazuaki Asato, Saki Miyahara, Emi Fukushima, Yoko Hasada, Masashi Tsuji, Ku Ishikawa, Minori Okajima, Ikuko Hyodo, Ryota Mukai, Shigeo Kanno, Koji Okano

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読み進めるほどに怖くなるホラーガイド

2.1怖

【映画】牡丹燈籠
監督:山本薩夫/日/1968年
新三郎は、盆に遊女のお露と知り合う。彼女の不幸な身の上を聞き、盆の間だけでもと、お露と祝言の真似事をして契りを結ぶが、実は彼女は自害した幽霊だった。中国に伝わる怪談と三遊亭円朝の怪談をベースにしている。「社会の生きづらさと人間の怖さ。意外に隠れた佳品です」(森 直人)

【映画】ヒッチハイク
監督:山田雅史/日/2023年
2ちゃんねるオカルト板スレッド「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」に書き込まれ、殿堂入りの怖さを誇る都市伝説の映画化。大学生2人がハイキングの帰りに道に迷いヒッチハイクを試みる。運良く一台の車が止まるが、それは悪夢の始まりだった。(BRUTUS編集部)

【小説】夜市
著:恒川光太郎/2005年
妖怪が開く市場に迷い込む「夜市」、異世界へ通じる古道から抜け出せなくなった少年の旅路を描き出す「風の古道」の2本立て。「恒川さんのテーマは“ここではないどこか”。ノスタルジックな異世界から、どんどん怪奇の方へズレていく。少年の成長物語として読んでも面白いと思います」(門賀美央子)

【お化け屋敷】おばけやしき Mini ※現在は終了
Sony Park Mini/東京・銀座
西銀座駐車場の地下1階、10坪ほどの空間で実験的なプログラムを開催するポップアップスペースが、2023年の夏限定でソニーの空間音響技術を用いたサウンドホラー型お化け屋敷を企画。シナリオは特集「怖いもの見たさ。」でも怪談を書き下ろしている怪談師・夜馬裕が担当した。(BRUTUS編集部)

おばけやしきmini

【漫画】戦慄!おおぐち女
著:牧原若菜/2007年
好きな人にふられてダイエットを始める主人公が、身に着けるだけで痩せる人形を偶然見つける。「圧倒的な奇想と怪奇な描写力の持ち主で、いい意味でほかの少女ホラーから浮いています。本作も変な話なのに、決め絵がしっかり怖くて、読ませるパワーがあるのはさすがです」(緑の五寸釘)

【漫画】滅びの魔光伝説
著:久間まさあき/2007年/『熱血!コロコロ伝説 Vol.9』収録
宇宙から降り注いだ光を浴びた人々の食欲が爆発。光を浴びなかった少年は恐怖におののき……。「強烈な描写と救いのないラストが、チビッ子のハートにトラウマを刻んだ作品。魔光を浴びて静かにおかしくなっていく人々の描写も秀逸です」(緑の五寸釘)

【漫画】不死と罰
著:佐藤健太郎/2022年
ゾンビブームが去った後、満を持して登場した本格ゾンビ漫画。「ゾンビものの王道で、作者の気合を感じます。このゾンビは戦闘能力がかなり高いのですが、従来のゾンビもののハラハラドキドキ感に加えて、主人公にも謎があるのがポイント。どう描かれていくのか、期待大」(緑の五寸釘)

【ゲーム】Bramble: The Mountain King
Steam、Xbox、PS4、Nintendo Switchほか/2023年
ダークな北欧神話テイストのホラーアドベンチャー。トロールにさらわれてしまった妹を助けるために、クリーチャーたちにバトルを挑みながら冒険に旅立つ。「美しさと狂気に満ちた世界をリアルでグロテスクに描いています」(人生つみこ)

2.2怖

【映画】ブレインデッド
監督:ピーター・ジャクソン/ニュージーランド/1992年
アフリカ奥地で発見された毒牙を持つ未知の生物“ラットモンキー”に嚙まれることで、人々は次第にゾンビ化していく。「のちの巨匠が初期に手がけたB級スプラッター。グロテスクな人体破壊描写もここまで突き抜けるとギャグの領域ですね」(森 直人)

【映画】死霊館 エンフィールド事件
監督:ジェームズ・ワン/米/2016年
シリーズ2作目。実在のエンフィールド事件を題材に、心霊研究家のウォーレン夫妻が真相を追う。「1作目に比べ幽霊を見る力を持つも精神的に弱い妻と、支える夫という夫婦の関係性が確立。幽霊描写のみならず家族映画としてもいい」(人間食べ食べガエル)

【映画】デッドコースター
監督:デヴィッド・R・エリス/米/2003年
映画『ファイナル・デスティネーション』の続編で、1年後、高速道路での玉突き事故による死を免れた男女に死神が忍び寄る。「死そのものが敵になるユニークなアイデアの発明が秀逸。起こる事故が極めて身近なため、リアリティがある点も怖いです」(人間食べ食べガエル)

【映画】アクエリアス
監督:ミケーレ・ソアヴィ/伊/1986年
ミュージカルのリハーサル中、突然劇場に侵入した殺人鬼により劇団員が殺されていく。「ダリオ・アルジェントの弟子によるスラッシャーホラー。映像美にこだわり絵に力が入っていて、いまだに色褪あせない美しい画えの宝庫。舞台に死体を並べるシーンは圧巻です」(人間食べ食べガエル)

【映画】ドント・ブリーズ
監督:フェデ・アルバレス/米/2016年/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/1,980円(BD)
強盗を企てた若者3人は、大金を隠し持っているとされる盲目の老人の家に押し入る。その老人は、目が見えない代わりに、どんなに小さな音でも聴き逃さない脅威の聴覚を持っている人物だった。「息の詰まるようなスリルがある映画。一瞬でも音を立ててはいけない明快なルールが貫かれているので、最後まで飽きることなく緊迫感が続きます」(人間食べ食べガエル)

【映画】MAMA
監督:アンディ・ムスキエッティ/スペイン=カナダ/2013年
経営者のジェフリーは、妻を殺害した後、娘も手にかけようとするが、逆に何者かに消されてしまう。「前半で登場する幽霊の姿が斬新で怖く、一瞬で詰め寄ってくる場面には戦慄します。一転後半は心温まる展開。前半と後半のギャップも面白いです」(人間食べ食べガエル)

【映画】ブギーマン
監督:ロブ・サベッジ/米/2023年
欧米で恐怖の存在として伝承されてきた“ブギーマン”をモチーフにした作品。原作はスティーヴン・キングの短編小説。女子高生のセイディと幼い妹のソーヤーは母を亡くした悲しみを乗り越えられずにいる。そんなある日、ソーヤーは家の中で怪しい“何か”を目撃する。(BRUTUS編集部)

【小説】変な家
著:雨穴/2021年
知人が購入を検討している中古一軒家は、間取り図に不可解な空間が存在していた。YouTubeで1,400万回以上再生された動画の続きが書かれた、覆面作家のデビュー作。「謎解き動画を作っているYouTuberさんなので構成力が高く、視覚的な工夫も盛り込まれている。最先端の恐怖表現!」(朝宮運河)

【小説】粘膜人間
著:飴村行/2008年/角川ホラー文庫
巨体の弟に怯える兄弟が村外れに棲すむ者に殺害を依頼する。「粘膜シリーズ」の1作目、日本ホラー小説大賞の長編賞を受賞。「人間に潜む、中学生的な性衝動や破壊衝動みたいなものを突きつめている“劇薬”のようなシリーズ。河童vs.怪童という組み合わせは奇妙でスリリングです。暴力×性衝動に加えてユーモアもあり、言葉のセンスが絶妙。めまいがするような荒々しさとエンターテインメント性が共存している作品です」(朝宮運河)

粘膜人間

【小説】メキシカン・ゴシック
著:シルヴィア・モレノ= ガルシア/訳:青木純子/2022年
メキシコの廃鉱山の屋敷に住む、呪われた一族の秘密とは。英国幻想文学大賞をはじめホラー文学賞3冠。「人種差別や家父長制との闘いに挑む女たちなどフェミニズム的な視点で書かれた本作は、今書かれるべきホラーとも言えます」(朝宮運河)

【漫画】フランケンシュタインの男
著:川島のりかず/1986年/マガジンハウス(2022年)
都会生活に疲れた男が心療内科を訪れ、封印していた恐ろしい記憶が蘇る。それはフランケンシュタインの怪物に心酔していた少女を喜ばせるために始めた遊びだったのだが……。「著者は長らく消息不明で、古本の価格が急騰していたのですが、奇跡の復刻を果たした最高傑作です。昭和のノスタルジックな風景とともに狂気が描かれていて、切なさもある。大人が読むべきホラーです」(緑の五寸釘)

フランケンシュタインの男

【漫画】蟬を食べた少年
著:つなん京助/『恐怖!トラウマ漫画1蟬を食べた少年』収録/いじめっ子に蟬を無理やり食べさせられた少年に、とある変化が。「多くの人が覚えていたタイトルだけをヒントに、マニアによって発掘されました。絵が気持ち悪いうえに、内容も奇怪。少年たちの脳裏に刻まれたのも納得です」(緑の五寸釘)

【漫画】ザシス
著:森田まさのり/2023年
中学時代の同級生が殺されたニュースは、公募小説の落選作に綴られた事件と酷似した内容。小説の作者は……。「大御所が満を持して描いたホラーですが、やはりストーリーが巧み。発売中の1巻だけでもすでに予想外の展開で、怖い描写も申し分なし。リアルタイムで読めることに感謝」(緑の五寸釘)

【漫画】『サイコ工場』
著:谷口トモオ/1997年
知る人ぞ知る、90年代の幻の作品とされていた本作。「オリジナル原稿の紛失を経て、見事復刊を果たしました。純粋に怖い作品もいくつかありますが、この人の持ち味は勢いで倫理観をもぶち壊す、ブラックコメディ。乾いた笑いが出てしまうほど、シュールに人が死んでいきます」(緑の五寸釘)

【ゲーム】『The Sinking City』
Steam、PS4、PS5、Nintendo Switch、Xboxほか/2019年
恐怖小説家のH・P・ラヴクラフトにヒントを得たオープンワールドのサバイバルホラーゲーム。陰鬱な街の中を戦闘と調査を繰り返しながら進行していく。「プレーヤー自身のメンタリティも試される一本」(向江駿佑)

2.3怖

【映画】『ハウス・ジャック・ビルト』
監督:ラース・フォン・トリアー/デンマーク=仏=独=スウェーデン/2018年
建築家を夢見る技師ジャックは、ある出来事をきっかけに殺人を繰り返すように。「基本的にトリアー監督の作品はどうかしてるとしか言いようがありません(笑)。シリアルキラーを描く本作も例に漏れず問題作です」(森 直人)

【映画】『ヴィレッジ』
監督:M・ナイト・シャマラン/米/2004年
ある小さな村では、周囲を取り囲む森に入ることはタブーとされていた。しかしある日、誰かが禁忌を犯したと思おぼしき事件が起こる。「話法の仕掛けも効いたゴシックホラーの名作。一流のスタッフが揃うゆえに映像も脚本も完成度が高いです」(森 直人)

【小説】『リンウッド・テラスの心霊フィルム』
著:大槻ケンヂ/1990年
自殺したはずの少女が、翌日も学校にやってくる。まるでそのことなど、なかったかのように……。グロテスクに奇怪をえぐり出すショートショート「なつみさん」など収録の“小説詩集”。「大槻さん“らしさ”溢れる描写がたまらない。奇譚好きな人におすすめ」(門賀美央子)

【ゲーム】『​​返校 ‒Detention‒』
Steam、PS4、Nintendo Switchほか/2017年
台湾のゲームメーカー赤燭遊戲が手がけた作品で、舞台は1960年代の台湾の架空世界。「主人公が要求される行動のエグさや、ゾクッとするグラフィックなどは怖いですが、物語の終盤はホラー要素よりも謎解き要素が強いということでこちらの怖さに」(人生つみこ)

【漫画】『DOOOOM―ドゥーム―』
原作:あかほりさとる、作画:一宮幽/2022年
“オカルト女”と揶揄される女子高生が、いじめっ子たちから見ると死ぬという呪いの動画を見せられる。「VTuberやInstagram、Zoom等が惨劇のトリガーとなる現代ソーシャルホラー。時代や技術が進化しても、人のいるところにホラーあり」(緑の五寸釘)

【漫画】『実話 不可解談喫茶』
著:宇田川うた子/2022年
不思議で怖い話を聞かせてくれたら、サービスするというイケメン店主の喫茶店で、来店者が実体験を語る。「作者自ら収集した実話怪談を基に描かれたオリジナルホラー。怖い話を集める喫茶店主という設定がうまくハマっていて、実話と思わせる効果が抜群に効いています」(緑の五寸釘)

【漫画】『シバタリアン』
著:イワムロカツヤ/2023年
桜の下に埋められていた柴田を助けて、友情を深めた中学時代。大人になって再会した柴田が増殖して……。「柴田は昔みたいに映画を撮ろうともちかけるのですが、どんどんおかしくなっていく。理不尽系の読み切りかと思いきや連載作品なのも驚きで、どこに着地するのか楽しみ」(緑の五寸釘)

【ドラマ】『心霊マスターテープ』
監督:寺内康太郎、谷口猛/日/2020年~
心霊ドキュメンタリーを撮影するスタッフを見舞う怪奇現象を描く。エンタメ~テレ制作の心霊モキュメンタリー。「このシリーズは怖いらしいと噂を聞いて、最新作の『心霊マスターテープ-EYE-』を観ました。ドラマとしての完成度がとても高いと思います」(劔 樹人)

【アニメ】『チェーンソー・メイド』
監督:ていえぬ/日/2007年
突如現れたゾンビの大群。チェーンソーを手にしたメイドが主人を守ろうと大量のゾンビと戦う姿が爽快なスプラッタークレイアニメ。「7分間の尺だが見応えがある作品。粘土の質感が相まって体の柔らかさや体がえぐられるグロテスクさが巧みに表現されています」(藤津亮太)

【アニメ】『妖怪人間ベム』
演出:若林忠生ほか/日/1968~69年
妖怪人間のベム、ベラ、ベロの3人が、人間になれる日を夢見て悪者を退治していく。無国籍風のダークな雰囲気も魅力。「第3話『死びとの町』は怪奇ものではなく、人間の無慈悲さが起こした怖くて悲しい物語。説明的すぎない描写が、かえって怖さを増幅させます」(藤津亮太)

2.4怖

【映画】『テリファー』
監督:デイミアン・レオーネ/米/2016年
ハロウィンの日、不気味なピエロが人々を襲う。続編『テリファー 終わらない惨劇』も今年公開された。「特殊効果に力を入れた意欲作。ほかの作品では見たことがないような執拗なまでに残虐な人体破壊描写が繰り広げられ、映像表現の目線で観ても面白い作品です」(人間食べ食べガエル)

【映画】『DASHCAM ダッシュカム』
監督:ロブ・サヴェッジ/米=英/2021年
迷惑系ライブ配信者として人気のアニー。邪険に扱われた昔の仲間への腹いせになりすましたフードデリバリーの仕事で、奇妙な配達依頼を受ける。「遭遇する怪異に、ビビりながらも悪態をついて立ち向かうアニーの根性がもはや頼もしく思えてきます(笑)」(人間食べ食べガエル)

【映画】『人形霊』
監督:チョン・ヨンギ/韓/2004年
森の奥深くに立つ人形の館にある日5人の男女が招待される。不思議な雰囲気に戸惑いながらも、5人は人形の美しさに魅了される。「日本人形にもどこか似た人形のビジュアルがまず怖いです。作り手の、人形に対する執着を余すことなく映そうという心意気を感じる作品です」(人間食べ食べガエル)

【映画】『​​永遠のこどもたち』
監督:フアン・アントニオ・バヨナ/スペイン=メキシコ/2007年
孤児院で育ったラウラは、自分がいた孤児院を買い取るが、怪奇現象に遭遇するようになる。ある日、息子のシモンが姿を消し——。「スペイン発のゴシックホラー。孤児という社会的なテーマも反映された見応えのある一作です」(人間食べ食べガエル)

【映画】『パラノーマル・アクティビティ』
監督:オーレン・ペリ/米/2007年
サンディエゴで暮らすカップルのミカとケイティは夜中に家の中で不審な現象が起こっていることに気づき、寝室にビデオカメラを設置する。「怖さの面で東京編には劣りますが、民家で起こる怪現象は自分にも降りかかりそうな身近さがあり怖いです」 (人間食べ食べガエル)

【小説】『幽霊ホテルからの手紙』
著:蔡駿/訳:舩山むつみ/2023年/文藝春秋
血まみれの美女の遺言によって幽霊旅館を訪れた作家が見たものとは……。累計1,000万部を超える中国のベストセラー作家の代表作。「“中国のスティーヴン・キング”の異名を持つ人気作家。現代史を背景に、中国に古くから伝わる幽霊や民俗的なものが物語と絡み合い、妖艶な美女の登場にエンタメ性の高さも感じました。ホラーはその国の死生観がわかるといわれますが、この作品からも垣間見えます」(朝宮運河)

幽霊ホテルからの手紙

【漫画】『となりの百怪見聞録』
著:綿貫芳子/2023年
装丁家でゲイの片桐甚八と、画家で“オバケ先生”と呼ばれる原田織座。あちらとこちらをゆらゆらと行き来する、新感覚のホラー。「怪異を招き寄せる男と、怪異を集める男の交流録。なにげないやりとりの中に潜む恐怖が、日常と非日常の境界線は曖昧なのだと教えてくれます」(緑の五寸釘)

【漫画】『カタリベ 人工知能がつぶやく呪いの予言』
原作:KATARIBE.bot、作画:舟/2018年
「なんとAIが原作の、まさに未来のホラー漫画です」。物語自動生成エンジンが作り出す、呪いの予言のような短い文章を基に、漫画化。11本収録。「適度に意味不明なあらすじも、ジャンルホラーと見事に調和しています」(緑の五寸釘)

【ゲーム】『夜間警備』
Steam/2023年/Chilla's Art
日本が誇るインディーゲーム制作チームの作品。夜間の警備員をテーマにした和製サイコロジカルホラー。Chilla's Art作品ではお馴染みのVHSの映像を模したグラフィックが、プレーヤーの恐怖心を煽る。「これまでの作品と比べても、恐怖演出の不気味さは際立っています」(人生つみこ)

2.5怖

【映画】『死霊のはらわた』
監督:サム・ライミ/米/1981年
休暇で不気味な小屋を訪れた男女は、禁断の『死者の書』を発見し、死霊を蘇らせてしまう。「悪霊が登場し、血が派手に流れ、登場人物たちは大声で泣き叫ぶ、エンタメ性を突き詰めたアグレッシブなホラー。一方で恐怖の側面もきちんと残っているところも非常に稀有です」(人間食べ食べガエル)

【映画】『食人族』
監督:ルッジェロ・デオダート/伊/1980年
ドキュメンタリー撮影のため訪れたアマゾンで消息を絶った男女4人。救助隊は食人族の村に辿り着き遺体とフィルムを持ち帰る。映っていたのは凄絶な強姦と殺戮だった。「ファウンドフッテージのはしりともいえる作品。今では倫理的にアウトな残酷描写を堪能できます」(人間食べ食べガエル)

【映画】『エルム街の悪夢』
監督:ウェス・クレイヴン/米/1984年
エルム街に暮らす高校生たちは、鋭利な鉄の爪をつけた怪人に夢の中で襲われる。その恐怖は、次第に現実にも侵食する。「フレディ・クルーガーという伝説的ホラーキャラが生まれた古典的作品。設定の斬新さと高いエンタメ性でホラーの歴史を切り開きました」(人間食べ食べガエル)

【映画】『ヘル・レイザー』
監督:クライヴ・バーカー/英/1987年
奇妙なパズルボックスを手に入れた男が失踪。彼は快楽と苦痛の区別が存在しない世界に引き込まれピンヘッド率いる魔道士たちに八つ裂きにされる。「こちらも人気ホラーキャラの魔道士ピンヘッドが登場した有名作。ビジュアルの怖さとインパクトはピカイチです」(人間食べ食べガエル)

【映画】『スケルトン・キー』
監督:イアン・ソフトリー/米/2005年
看護師のキャロラインは、老夫婦が暮らす屋敷で住み込みで働くことに。屋敷の秘密を少しずつ知ることで、“フードゥー教”の古呪術の恐怖に見舞われるようになる。「起伏はそう多くない作品ですが、避けようのない恐怖に陥っていく絶望感にハラハラします」(人間食べ食べガエル)

【小説】『妖都』
著:津原泰水/2019年
東京を徘徊する無数の死者たちが引き起こす、恐怖の数々を描いた金字塔の復刊。「少女小説家として活躍した著者の初長編は、スタイリッシュな都市小説。酔いしれるような魅惑的な文体で紡がれ、見えないはずの死者が持つ“リアリティ”を感じられる。不思議な説得力がある文章です」(朝宮運河)

【書籍】『本当にあった「呪物」の怖い話』
著:都市ボーイズ・はやせやすひろ、田中俊行、由乃夢朗/2022年
怨念が宿ったもの、呪物のコレクター3人が、それぞれのコレクションを写真と詳細な解説で紹介。インパクトの強い見た目はもちろん、呪物にまつわる因縁や実際に起こった怪奇現象は、それ自体が怪談として怖い。(BRUTUS編集部)

【漫画】『惨家』
著:井上三太/2022年/電車の中で周囲に迷惑をかける挙動不審な男を注意したのが、運の尽き。平凡なサラリーマンの日常が一変する。「理不尽すぎる暴力により、平穏が破壊される恐怖。読後には、作中の人物たちがいつ日常を侵食してもおかしくない緊張感が。作者のファンなら、ちょっとしたお楽しみも」(緑の五寸釘)

【漫画】『怖習』
著:茸谷きの子/2022年
「身の回りの物がよく落ちるんです」と、淡々と始まる女性の独白。「1ページを丸々使用してこちらに語りかけるという、SNSでの閲覧に特化した挑戦的な演出です。まるで読んでいる自分が登場人物であるかのような、臨場感を味わえます」。一見怖さを感じない絵柄とのギャップもいい。(緑の五寸釘)

【漫画】『女子高生×日常に蠢く怪異 ホラーアンソロジーコミック』
2023年
授業中、放課後の校舎、下校中の田舎道、地下鉄の中など、日常の様々な場面で女子高生たちが遭遇する、人ならざるもの。「“女子高生”というワードに惹かれて購入すると間違いなく後悔する、しっかりとどれも怖い、ホラーアンソロジーです」(緑の五寸釘)

【怪談】煙鳥「机と海」
『煙鳥怪奇録 机と海』(竹書房怪談文庫)収録
中古で買った緑の机の引き出しから、真っ白な腕が飛び出ていた。女性が訪ねた占い師からは助言が2つ。一つ、机を午前3時に九十九里浜で燃やすこと。二つ、その時に声をかけられても決して振り向かないこと。机を燃やすさなか「後ろに、財布落ちてますよ」と声が聞こえてきて……。「怪談マニアは間違いなくハマる、知識と取材の量が魅力の煙鳥さん。振り返らずにい続ける律儀さに奇妙さが」(吉田悠軌)

煙鳥「机と海」

【怪談】田中俊行「あべこべ」
彼女と夜釣りにやってきた彼は、その場で家族だという4人組に出会う。より釣れるというポイントに案内しようと提案されるが……。「ライブでは、話の終盤にコールアンドレスポンスも巻き起こる、田中さんのアンセム的怪談です」(深津さくら)

【ゲーム】『零 ~月蝕(つきはみ)の仮面~』
Steam、Xbox、PS5、PS4、Nintendo Switch/2021年
日本の南方の島で、祭りの際に神隠しにあった少女たちが、失われた記憶を求めて再び島を訪れる。懐中電灯の明かりを頼りに探索し、襲いかかってくる怨霊を退けながら真実に迫る。「フォトモードで自由に心霊写真を作ることもできます」 (向江駿佑)

【ドラマ】『ミステリーバス』
監督:ゲイア・ヘニング・ホプランド、アトル・クヌッセン/ノルウェー/2020年/Netflixオリジナル
1話30分程度でおぞましい運命を描くホラーオムニバスドラマ。「北欧版『世にも奇妙な物語』と言えばピンとくるはず。人間の恐ろしい強欲を描いた第1話『究極の犠牲』から引き込まれます」(DIZ)

ミステリーバス
COURTESY OF NETFLIX

【アニメ】『デス・パレード』
監督:立川譲/日/2015年
2013年公開の短編『デス・ビリヤード』がテレビシリーズ化。謎のバー〈クイーンデキム〉に来店した人物はデスゲームに参加することになる。「ゲームの過程であらわになるその人物の過去や本質が、人間の醜い部分を突きつけてきます。もっと知られてほしい一作」(藤津亮太)

【お化け屋敷】『死霊の館~呪われた少女~』ルスツリゾート遊園地
北海道・留寿都村
社会から隔絶されて亡くなった少女が、一生を過ごした洋館が舞台。「洋風のお化け屋敷では内装の精緻さが日本トップレベル。仕掛けや展示を通して少女の悲運を体感すれば、背筋がゾクッとします」(ジェットコ社会人)

死霊の館
©RUSUTSU RESORT

【心霊ドキュメンタリー】『幽霊報道』
監督:ウンノヨウジほか/日/2021年
「空き家の怪音」「レンタカーの霊」「黒いストーカー」という3つの謎の解明をスタッフが試みる。「既存のフォーマットにとらわれず、ジャーナリストのような形で心霊の噂を検証したり調査したりしていく点が新鮮。作り込んであるので、ドラマ好きにも刺さると思います」(皆口大地)

【映画】『オクス駅お化け』
監督:チョン・ヨンギ/脚本:高橋洋、イ・ソヨン、白石晃士(脚本協力)/日=韓/2023年/配給:松竹ODS事業室
Jホラーの巨匠・高橋洋らが制作に参加した日韓合作ホラー。原作は韓国で大ヒットした同名のウェブトゥーン。ソウルに実在する地下鉄のオクス駅で起こる怪異の真相とは。(BRUTUS編集部)

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