京都の日本海側、大自然に包まれた久美浜
まるで湖のような内海の久美浜湾。そして頂上から弧を描く湾を一望できる、かぶと山で知られた旧城下町・久美浜。その美しさから“神の箱庭”なんて呼ばれることも。おだやかな海と山の自然を満喫できる、なんとものどかな町である。
久美浜で知られていることがもうひとつ。全国に店舗を構えるアパレルを軸としたセレクトショップ〈Bshop〉が手がける、宿泊棟などを備えた〈HOTEL HOLIDAY HOME〉があること。誕生したのは1997年。久美浜は創業者の生まれ育った場所で、いわば〈Bshop〉の“聖地”なのだそう。
〈HOLIDAY HOME〉が持つ約2万㎡の広大な敷地には、4つの宿泊棟にレストラン、そして〈Bshop 久美浜店〉のショップがある。敷地内を少し散策すれば、歩道を横切る小さなカニを発見できるし、森ではシカの親子にも遭遇。
久美浜の自然に溶け込むように、つまり着心地のみならず、居心地の快適さや新しいライフスタイルを提案する〈Bshop〉のテーマを実践するような施設だ。近い将来、カフェやベーカリーのオープンも想定しているという。
〈HOLIDAY HOME〉のコンセプトを一新した新たな試み
今回〈HOLIDAY HOME〉敷地内にある〈Bshop 久美浜店〉が大胆にリニューアルオープン。ショップは、かぶと山の麓にある元倉庫をリノベーションした、体育館のような巨大スペースだ。しかも全国の〈Bshop〉の流通拠点となる場所だったというから驚きだ。
トピックは都内でも展開の少ないアイテムを取り揃えているところ。そして、新たに〈THE NORTH FACE 京丹後〉が登場したこと。コンセプトは“Bring Together”。つまり、2フロアにわたるコラボレーションストアで、この地ならではの試みが展開される予定だ。
ちなみに、〈Bshop〉は神戸に本社を構えつつも、現在も商品倉庫は久美浜にあり、ここから全国の各店舗に発送する、というから効率性だけを選ばない、彼らの久美浜愛が伝わってくる。〈Bshop〉の代表取締役社長、森 威さんは今回のリニューアルについて、ただの新装開店ではないと話す。
「今、久美浜は人口が減少している状況で。町の起爆剤ではないけれど、この施設がそんな役割も担っていければ、と考えています。都市ではない場所だからこそ、店舗だけ、という単純なものではなく、遠方からの方も、地元の方にも楽しんでもらえるようなことができれば。
久美浜では、いろんなアクティビティが体験できるんですが、地元のスポーツ店がなくなってしまったり。普通にランニングするだけでも自然を楽しめる場所なんですが、地元では当たり前過ぎて。だから今回〈THE NORTH FACE〉さんとご一緒し、地元の方にも久美浜の魅力を再発信したいと考えています」
旧知の二人が魅力あるプロジェクトを形に
〈THE NORTH FACE 京丹後〉の商品構成のキーワードはキャンプ、パフォーマンスウェア、キッズ。560㎡と国内最大級の店舗面積で最新型のキャンプギアから、店内に張られたテントも目を引く。
加えて、見逃せないのがアクティビティツアーの実施を予定しているところ。トレッキングやキッズ・ネイチャー・スクール、それにカヤックやサップなど、久美浜の自然を存分に味わえるプログラムが予定されている。
国内での〈THE NORTH FACE〉の商品企画、製造販売を手掛けるゴールドウインは、2020年に環境省と国立公園オフィシャルパートナーシップを締結し、現在までに知床や石垣島など、国立公園に4店舗のフィールドショップを展開。これは国立公園が持つ自然の豊かさを伝え、活用と環境保護を促す試みだ。
それが今回、5店舗目となる国立公園・久美浜かぶと山公園に〈THE NORTH FACE 京丹後〉をオープンさせた理由でもある。森社長とも旧知の仲で、プライベートでも交流があるという、〈THE NORTH FACE〉事業部長、髙梨亮さんは今回の出店についてこう話す。
「〈THE NORTH FACE〉としては、国立公園の自然の魅力を伝えるだけでなく、体感してもらって、その一歩先へ進んでいくことを目指しています。コラボレーションストアを起点とし、久美浜でのアクティビティの価値を共有できるようなサービスを充実させていきたい」
なんと言っても〈HOLIDAY HOME〉のロケーションは海へも山へも徒歩3分圏内。久美浜ならではの自然の魅力を再提案していくコラボレーションに期待できない理由なし。今こそ、知られざる京丹後の自然にのんびりと触れてみるのはいかがだろう。