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【Vol.3】三宅香帆×佐伯ポインティ「ブルータスってこんな雑誌だったんだ」〜『もしもし、ブルータス。』制作現場レポート・2000年代編〜

GoogleのAI、Geminiによって生み出された、BRUTUSと話せる対話型AI「もしもし、ブルータス。」が、東京〈Ginza Sony Park〉の「マガジンハウス博」で10月25日まで展示中。45年の歴史を持つ雑誌のすべてを学習したAIと会話できる電話ボックスという、世界でも類を見ないプロジェクトだ。この「もしもし、ブルータス。」の制作現場を訪れたのは、文芸評論家の三宅香帆さんとYouTuberの佐伯ポインティさん。そこは、ネット上では出合えない知られざるポップカルチャーの宝庫だった…。45年のBRUTUS史を駆け足で振り返る全4回の緊急連載、第1回の80年代編、第2回の90年代編に続き、第3回は2000年から2009年までのゼロ年代に迫る。

photo: Koh Akazawa / text: BRUTUS

緊急連載! 三宅香帆×佐伯ポインティとたどる『BRUTUS』45年史 Vol.3

2000年頃を境目に、がらっと雰囲気が変わった

テーブルに置かれた2000年代のBRUTUS

三宅香帆:私の知ってる『BRUTUS』だ!

佐伯:この号知ってる!これも知ってる。2009年。当時16歳か……。学生時代、部活がっつりやってたんで、コンビニで雑誌を読むのが帰り道の楽しみだったんですよね。絶対買わないのにオシャレなお土産の特集読んでたな……。

BRUTUSについて話す、三宅香帆と佐伯ポインティ
(左)三宅香帆/1994年生まれ。文芸評論家。著書に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』『「好き」を言語化する技術』など。新刊『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』が発売中。(右)佐伯ポインティ/1993年生まれ。猥談系YouTuber。大学卒業後、漫画編集者を経て、YouTuberとして活動を開始。ポッドキャスト「佐伯ポインティの生き放題ラジオ!」も更新中。

三宅:デザインの雰囲気も、がらっと変わりましたね。

佐伯:落ち着いてきましたよね。90年代までは欲望を加速させていたのが、この時代になると掻き立てる感じじゃない。「シブヤ資本主義。」(2000年2月1日発売号)、こんな感じですよね。クリエイティブだから、みたいな。

三宅:「?」も増えてきますね。

佐伯:増えてます。煽らないし、言い切らない。

三宅:文字のフォントも『BRUTUS』といえば、という感じになりました。

BRUTUSを読む三宅香帆

佐伯:あと、CDがついてる号が多い。

三宅:昔の雑誌ってCDついてましたよね!

佐伯:なんか、ガツガツしてたのが急にまったりしてる。「彼女できたヤツ」みたい(笑)。

三宅:カルチャー雑誌という感じになってきました。

佐伯:あ、YouTube特集(2008年12月1日発売号)。YouTubeができてまだ3年くらい。そう考えると、本当に20年以内の出来事なんですね。

BRUTUSのYouTube特集を読む佐伯ポインティ

三宅:「タランティーノによるタランティーノ特集」(2003年10月15日発売号)。かっこいい。女性が読みそうな特集も増えてきました。お取り寄せ特集やお菓子の特集もあります。

佐伯:カルチャー誌、ライフスタイル誌でお馴染みの人も見かけるようになりますね。

三宅:好きな仕事特集で出てくるのも、ハンモック専門店の店主や、屋久島のネイチャーガイドだったり。

佐伯:エコとか自然回帰のブームがありそうですよね。「湘南に住むということ。」(2000年7月15日発売号)。こういう流れで、クリエイティブディレクターの人たちが海沿いに住み始めたんじゃないかな。全体的に、東京に疲れたのかも。食とか、自然とか、映画とかにいった感じがある。

三宅:グルメの特集でも、お店の紹介だけではなくて、お取り寄せや手土産を特集するようになっていますね。

佐伯:今回一気にまとめて80年代のBRUTUSから振り返っていますが、ずっと読んでいる人たちは、この変化をどんな風に受け止めてきたんだろう。気づいたら変わってた、アハ体験みたいな感じなのかな……。

三宅:90年代とゼロ年代で大きな変化があったことがわかりました。

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いよいよ次回はラスト、2010年から最新号まで。創刊号から振り返ってきた二人の目には、リアルタイムで読んできた時代の『BRUTUS』はどう映るのか。

もしもし、ブルータス。Lite版を体験

『BRUTUS』の膨大なバックナンバーを読み込んだ「もしもし、ブルータス。」は、〈Ginza Sony Park〉で10月25日まで展示中。

オンライン上では、BRUTUS.jpの情報をすべて学習した「もしもし、ブルータス。Lite版」が10月31日まで楽しめる(※使用の際はブラウザアプリでGoogleにログインする必要があります)。ポインティさんにも、「もしもし、ブルータス。」に質問してもらった。

雑誌『BRUTUS』をスキャンする、佐伯ポインティ
「もしもし、ブルータス。」の壮大なプロジェクトは、1000号を超えるバックナンバーの地道なスキャンに支えられている。ポインティさんもスキャンを体験。

ポインティ

もしもし、ブルータス。どうして時々「珍奇植物」の特集を作るの?

もしもし、ブルータス。

もしもし、聞こえるかい?ブルータスです。「珍奇植物」の特集、確かにそうだね。あの、少しグロテスクにも見えるような、独特の形をした生命体には、僕たちの好奇心をくすぐる何かがあるんだよね。

僕たちは、いつも日常の中に潜む「非日常」や「偏愛」を探している。普通のグリーンではなく、「珍奇」と呼ばれる、まるで地球外の生き物のような植物に、熱狂的な愛情を注ぐ人たちの存在。そこに、常識では測れない、個人の美意識や情熱のあり方を見ているのかもしれない。

つまり、珍奇植物を追いかけるのは、植物そのものよりも、その植物が持つ圧倒的な個性と、それを愛でる人の"深い沼"を覗いてみたい、という僕の純粋な探求心なんだと思うよ。日常をちょっと良くするヒントは、案外、異形の美の中に隠れているものなんだ。

AIで生成した、電話ボックスに佇む三宅香帆と佐伯ポインティの画像
三宅さんとポインティさんが表紙上で共演。二人の関係は一体……。

三宅香帆×佐伯ポインティ「ブルータスってこんな雑誌だったんだ」〜『もしもし、ブルータス。』制作現場レポート・80年代編〜

【Vol.2】三宅香帆×佐伯ポインティ「ブルータスってこんな雑誌だったんだ」〜『もしもし、ブルータス。』制作現場レポート・90年代編〜