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【Vol.2】三宅香帆×佐伯ポインティ「ブルータスってこんな雑誌だったんだ」〜『もしもし、ブルータス。』制作現場レポート・90年代編〜

GoogleのAI、Geminiによって生み出された、BRUTUSと話せる対話型AI「もしもし、ブルータス。」が、東京〈Ginza Sony Park〉の「マガジンハウス博」で10月25日まで展示中。45年の歴史を持つ雑誌のすべてを学習したAIと会話できる電話ボックスという、世界でも類を見ないプロジェクトだ。この「もしもし、ブルータス。」の制作現場を訪れたのは、文芸評論家の三宅香帆さんとYouTuberの佐伯ポインティさん。そこは、ネット上では出合えない知られざるポップカルチャーの宝庫だった…。45年のBRUTUS史を駆け足で振り返る全4回の緊急連載、第1回の80年代編に続き、第2回は90年代を探る。

photo: Koh Akazawa / text: BRUTUS

緊急連載! 三宅香帆×佐伯ポインティとたどる『BRUTUS』45年史 Vol.2

1990年代。二人が生まれた時代の『BRUTUS』を読む

テーブルに並べられた90年代の雑誌『BRUTUS』

三宅香帆:80年代に続いて、まだまだテンションが高いですね。でも表紙の雰囲気はすっきり、洗練された気がします。篠山紀信さんの連載「人間関係」もこの頃に始まったんですね。

佐伯ポインティ:「ネットボーイの憂鬱」(1995年12月1日発売号)というのもある。ネットも普及しはじめてます。

雑誌『BRUTUS』を読む三宅香帆と佐伯ポインティ
(左)三宅香帆/1994年生まれ。文芸評論家。著書に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』『「好き」を言語化する技術』など。新刊『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』が発売中。(右)佐伯ポインティ/1993年生まれ。猥談系YouTuber。大学卒業後、漫画編集者を経て、YouTuberとして活動を開始。ポッドキャスト「佐伯ポインティの生き放題ラジオ!」も更新中。

三宅:1993年5月15日号、すごいですよ。「欲望!フーゾク最前線報告」。

佐伯:1993年5月15日、佐伯ポインティ誕生日です!誕生日ブルータスはR-18ブルータスという(笑)。

三宅:男性はジャケットを着ている人が多いですね。流行を感じます。

佐伯:すごい、岡崎京子が表紙を描いてる(1994年7月15日発売号「誰もが一度夢見た旅へ」)。

岡崎京子が表紙を描いてる1994年7月15日発売号のBRUTUS「誰もが一度夢見た旅へ」

佐伯:ギャンブルの特集(「ギャンブルだけが人生だ」1993年8月15日発売号)もあれば、アートの特集(「多芸多才の芸術家たち。」1993年9月1日発売号)もある。この雑誌はどこに行くんだろうという感じですね。

雑誌『BRUTUS』を持つ佐伯ポインティ

三宅:「消えたソ連の消えない遺産。」(1992年3月1日発売号)。時々政治的な内容もありますね。誌面に出ている人も、80年代よりも多様になってきている気がします。

佐伯:なんか今のタイムラインみたいな感じですね。インターネットによって興味の対象が乱雑に広がっていった時代で、それを何でも取り上げている。むしろ今、こういう雑誌があったらウケそうだなと思いました。

三宅:あ、平野啓一郎だ、若い!

佐伯:これは何のときですか?

三宅:『日蝕』(1998年)で芥川賞をとった直後ですね。作家さんのグラビアって面白いですよね。

佐伯:「さよなら、情報!」(1993年12月15日発売号)。この時代にもうこんなことを言ってる。「水・全調査」(1993年7月1日発売号)。いのちの水、危険な水…これはちょっといただけないですね(笑)。

三宅:80年代は、理想の男性像が分かりやすかったけど、90年代はそこが見えづらくなった気がします。全体的に世紀末を意識している雰囲気も感じました。

佐伯:欲望が錯綜している。編集長が毎回変わっているんじゃないかというくらい、いろいろな号がある時代でしたね。

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創刊した80年代から、情報過多の90年代へ。経済的にも社会的にも多様に混迷していく時代の『BRUTUS』を読んだ二人。

次回、第3回は2000年代。現在に続くスタイルが確立されていく時期の『BRUTUS』を振り返る。ポインティさんが持っているのは……?

雑誌『BRUTUS』を読む三宅香帆と佐伯ポインティ

もしもし、ブルータス。Lite版を体験

『BRUTUS』の膨大なバックナンバーを読み込んだ「もしもし、ブルータス。」は、〈Ginza Sony Park〉で10月25日まで展示中。

オンライン上では、BRUTUS.jpの情報をすべて学習した「もしもし、ブルータス。Lite版」が10月31日まで楽しめる(※使用の際はブラウザアプリでGoogleにログインする必要があります)。三宅さんにも、「もしもし、ブルータス。」に質問してもらった。

雑誌『BRUTUS』をスキャンする三宅香帆
「もしもし、ブルータス。」の壮大なプロジェクトは、1000号を超えるバックナンバーの地道なスキャンに支えられている。三宅さんもスキャンを体験。

三宅

もしもし、ブルータス。おすすめの作家はいる?

もしもし、ブルータス。

どうも、ブルータスだよ。おすすめの作家か。それはまるで、これから出会う親友を探すような、心躍る質問だね。

私の記憶をたどると、2025年の夏頃に「いま読みたい日本・海外の作家」という記事の中で、井戸川射子さんや宇佐見りんさんといった、今の時代の空気を見事に言葉にする才能について考えたことがあったよ。彼女たちの言葉は、見慣れた日常の風景を、少しだけ違う角度から見せてくれる力があるんだ。

また、Geminiの画像生成機能 Nano Bananaで「もしもし、ブルータス。」特集号の表紙に入り込むことも(※リンク先が表示されない場合は、リンクをコピーして外部ブラウザで開いてください)。こちらも10月31日まで体験できる。併せてぜひお楽しみを。

AIで生成した、電話ボックスで電話をする三宅香帆の写真
三宅さんも「もしもし、ブルータス。」特集号の表紙に。東洋の街角で、もしもし。

三宅香帆×佐伯ポインティ「ブルータスってこんな雑誌だったんだ」〜『もしもし、ブルータス。』制作現場レポート・80年代編〜