「スケーターは、国内外問わず、すごく親切なイメージがあります。初めてのパークへ滑りに行っても、知らない人が良い技を決めたら褒めるし、僕が逆に褒められることもある。だから、すぐにその場の人たちと仲良くなれるんです」と田口悟さん。
普段は、街乗り用とパーク用で仕様を変えた2台のスケートボードを使い分け。なんと、横浜から中野までクルージングしたこともあるのだそう。
「風を切って、プッシュするだけでスケートボードって気持ちいいものなんです。自転車やバイクとちがって、足から伝わってくる振動とか、それだけで、楽しく感じます」
コンプリートと呼ばれるすでに出来上がったスケートボードではなく、今回は、パーツをカスタマイズして組むポイントをレクチャー。初心者におすすめの一台を作るために、田口さんに手順とコツを教わりました。
〈クリケット〉のデッキ／10,000〜13,000円ほどで購入できるデッキ。実は、細かなちがいがある。「子供の頃は、気軽に出せない値段だったので、板がボロボロになるまで乗っていたのも懐かしいです。ビスまでの距離が長い方が前で“ノーズ”、後ろ側を“テール”と呼びます。幅の種類もさまざまで、今回は、8.25インチに。細すぎても安定しないし、太すぎると重くなるので、僕は7.75〜8.25インチが使いやすい。マーク・ゴンザレスの絵がかわいいですよね！」 
〈ジェスアップ〉のデッキテープ／滑り止めの役割を果たすデッキテープは、1,000円前後で手に入る。「プロショップでも購入したときにお願いすれば、貼ってもらえます。赤とか青とかいろんな色が出ているので、カットして柄をコラージュしたりと個性を出せます」 
〈インディペンデント〉のトラック／ウィール（車輪）をつけるのに必要な土台となるトラック部分。8,000円台のものをチョイス。「板のサイズに合わせた長さのものを選ぶのがポイントです。〈インディペンデント〉か〈ベンチャー〉か〈サンダー〉、〈エーストラック〉が僕はおすすめです。今回選んだ〈インディペンデント〉は、車高が高めに設定されているブランド。オーリーという技を決めるとき、キックが上の方でしやすいです」 
ブッシュ／トラックを構成するパーツの一つにブッシュがある。スケートボードの動きをコントロールする。「ブッシュにも硬さの種類があって、硬い・柔らかいの好みがあり、付属のものではなく、カスタムする人がいます。また、トラックは長持ちするんですけど、ブッシュは裂けることもあるので、ここだけ取り換えることも」 
〈チャレンジャー〉のウィール／ウィール（車輪）は田口さんが手がける〈チャレンジャー〉のもので、7,480円（CHALLENGER☎︎03・3423・1919)。「街乗りのウィールは柔らかいものを使っているんですけど、スケートパークとかストリートで滑るときは、99〜101Aという硬さをにしています。最近では、97A っていう少し柔らかめのウィールも流行っているみたいです。大きさも52〜56mmくらいがストリートでよく使われる大きさ。僕は54mmくらいにしています」 
〈ボーンズ〉のベアリング／ウィールをセットするのに必要なのがベアリング。「2,000円から20,000円くらいまでと価格帯も広いんですけど、最初はグレードが低いもので全然問題ないと思います。徐々に慣れていく過程で、グレードが高いものを使ったときに、乗り心地が全然ちがうので感動するはず。それを味わうのも良いかもしれません。これは2,000円台の商品」 
必要な道具は4点のみ。デッキの形に沿って、デッキテープに跡をつけるのに役立つドライバー。ベアリングをセットするのに使うレンチ。テープを切るカッター。そして、デッキテープにビスを通すための穴を開けるキリ。
プロスケーターとして活躍後、現在はアパレルブランド〈チャレンジャー〉のデザイナーを務め、絵も描いている田口さん。アートとの出合いもスケートボードがきっかけだった。「小学6年生のときに見つけたデッキのグラフィックが本当にかっこよくて、アートに興味を持ち始めました。
そこから絵の勉強をするようになって、今の仕事にも繋がっています。スケートボードビデオを観ていて、使われている楽曲から音楽を知ったり、出ているライダーの装いから、スボンの丈はあれくらい切っちゃった方がいいなとか、ファッションのヒントも得られる。
最近では、オリンピックの競技にもなりましたが、他のスポーツとちがってバックボーンにカルチャーがあることが僕はすごく好きです。乗り物としてだけでなく、その背景も引っくるめて、いくつになっても楽しめる魅力があると思います」。
