〈ロッカ・シュピール〉とは?
トレードマークは、帽子に口ひげ、サングラス!そして“トゥルーリ語”を話すゲームデザイナーのトゥルーリ・オカモチェクさん。1994年に、ヨーロッパ旅行でイタリア・ヴェニスに訪れたトゥルーリさんは、世界的なゲームデザイナーのアレックス・ランドルフさんと彼の妻・ジェアさんに出会う。そこで、カードゲームやボードゲームに魅了されたという。
「僕は、アレックス・ランドルフや彼のパートナーとよくボードゲームをやっていたのだけれど、言語がちがっても仲良く遊べた。それから彼が15年前に亡くなって、お墓参りに訪れたときに、立体的に見えるカードゲームを思いついたんだ」とトゥルーリさん。
すぐに、友人のデザイナー・柿木原政広さんにグラフィックを依頼し、最初のカードゲーム「ロッカ クラシック」が誕生した。その後、〈ロッカ・シュピール〉と名付け、“六角形”をモチーフにしたカードゲームを続々と発表している。今回は、一番人気の「ロッカ タウン」の遊び方を解説していただきました。
〈ロッカ・シュピール〉が手がける
カードゲームやボードゲーム
「平面のカードを並べていくうちに遊んでいると立体的に見えるのが〈ロッカ・シュピール〉の特徴です」とトゥルーリさん。
展開しているのは、アブストラクトと呼ばれる抽象的なゲーム。プレイヤーが戦略を練れるような構造や仕組みも考えて作らなければならない。
「平面の紙が一つあることで、空間が広がり世界観が広がっていく様子が自分はすごく好きです」と柿木原さんが言うように、遊んでいくうちに、カードというピースが重なり合い、新たに立体的な像が浮かび上がるのも〈ロッカ・シュピール〉の面白さの一つ。
デザインやイラストの一つ一つにこだわりが詰まっている。
“楽しい”の先に見出す可能性
「ゲームは小さい子でも大人に勝てるし、貧富の差も関係ない。どんな場所でもどんな人とでもゲームが一つあれば、一緒に楽しむことができるんだ」とトゥルーリさんは言う。
年齢も性別も国籍も力の差でさえもフラットにしてくれる存在。その小さなカードは、娯楽としてだけでなく、コミュニケーションツールにもなる。実際に、トゥルーリさんと柿木原さんも、あらゆる著名人とカードゲームで遊んだ経験があるのだそう。
「ゲームを作ったので、一緒に遊びませんか?と持ちかけて、いろんな方と交流する機会を得ることも多々ありました。作家の赤瀬川原平さんや伊坂幸太郎さん、映像作家のジョナス・メカスさんと一緒にゲームをプレイしたことも。そんなふうに、話してみたい相手とのコミュニケーション手段の一つになりえる。こんなに小さなものでも、人と人との間を取り持つことができるのは、ゲームの素晴らしい可能性だと思っています」と柿木原さん。