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「グッチ ガーデン アーキタイプ」展が東京に上陸

フィレンツェ、上海、香港と話題を呼び続けてきたエキシビションが、ついに東京・天王洲に上陸した。ブランド創設100周年を祝した展示の中身は、クリエイティブ・ディレクターにアレッサンドロ・ミケーレ就任以降の広告キャンペーンを立体的に表現したもの。

Text: Itoi Kuriyama

グッチの世界観に浸れる
没入型エキシビション

グッチはブランド創設100周年を記念し、2021年の5月フィレンツェのグッチ ガーデンで「グッチ ガーデン アーキタイプ」展を開催。そのエキシビションがこのたび日本に上陸した。

アレッサンドロ・ミケーレがクリエイティブ・ディレクターに就任以降6年間の広告キャンペーンを、シーズン・テーマ別に立体的に表現。時系列ではなくランダムに構成された13の展示室は見応え十分だ。

その内容もコレクション同様タイムレスで、どれも全く古さを感じさせることはない。舞台や時代設定などはシーズンによってバラバラだし、折衷主義を貫いているが、グッチの世界観はブレること無く、服がどんなコンセプトにも自然と溶け込んでしまうことに改めて驚かされる。

グッチ ガーデン アーキタイプ展 東京 地図

YouTubeで見られる広告キャンペーンのムービーを予習・復習しておきたい。お気に入りのシーズンのコレクション(洋服)について、さらに理解が深まるのでおすすめだ。

アレッサンドロのこだわりが詰まった濃密な空間に包まれると、つい現実世界を忘れてしまう。素人がスマホでどこを切り取っても絵になるので、記念撮影を忘れずに。

映画・ドラマ好きも満足

事前に予習しておいたほうがいい理由がもう一つある。広告キャンペーンのムービーでは、有名な映画監督や映像作家、往年の映画やドラマをモチーフにすることも多いからだ。

Room 2では代表作に『ロブスター』(2015)、『女王陛下のお気に入り』(18)などがあるヨルゴス・ランティモス監督が手がけた2020年春夏、Room 6ではヌーベルヴァーグのスタイルと特徴を踏襲した2018年プレフォール、Room 11ではハーモニー・コリンが1980年代の華やかなパーティの様子を描いた2020年クルーズ広告キャンペーンの世界を表現している。

2017年秋冬の広告キャンペーンが元になっているRoom 7は1960〜70年代の名作SFのムード。精巧なジオラマやエイリアンのマスクを見ることができる。

細部も見逃し厳禁

アレッサンドロが初めて手掛けた2015年秋冬の広告キャンペーンを表現したRoom 4には血管や毛穴までリアルに再現したマネキンが。身体をスキャンして3Dモデルを作成し、バイオプラスチックで3Dプリント。樹脂やシリコンなどを用いて2ヶ月を費やして作り上げられた。

Room 7のジオラマには、人形たちが2017年秋冬コレクションをミニチュア化した服を着用。その繊細な技術に驚かされる。Room 9はスペイン人アーティスト、イグナシ・モンレアルが2018年春夏コレクションを絵画で表現。ラファエル前派やルネッサンス時代の名作の美の世界や、アレッサンドロの姿、彼のラッキーナンバーなど、さまざまなトリビアが隠されている。

ここでしか見られないディスプレイ

2018年秋冬の広告キャンペーンでは蝶の標本や鳩時計、ぬいぐるみなどをコレクションするエキセントリックな人々が描かれた。Room 1ではその収集品がディスプレイケースにきちんと納められているが、フィレンツェでは1970年代風のレトロなフォルムにウェブ ストライプがあしらわれたスニーカー「エース」が並んでいたのに対し、東京ではバッグに。ダブルGのハードウェアが特徴の「GG マーモント」が陳列されている。

東京で撮影された2016年秋冬の広告キャンペーンを元に、デコトラが待ち受けるRoom 5にはネオンで縁取られたショーウィンドウが。ここでもフィレンツェとは異なるアイテムを見ることができる。

グッチ ガーデン アーキタイプ
フレグランスが香る部屋も。
Room8
「In Bloom」

豊富な経験と深い専門知識を持つ4人のナビゲーターを迎え、ブルータスだけの「グッチ ガーデン アーキタイプ」展、デジタルルームツアーを敢行。めくるめく空間からヒントを探し、時に独自の解釈を加えながら、想像をはるかに超えた詳細解説をしてくれました。このエキシビジョンをより面白く、深く理解するためのガイドとなるはずです。