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グランドセイコー「9Sメカニカル GMT」。時の本質を物語る職人の腕と技

自然や季節の移り変わりから受け取る感性と、その道を極めようとする職人の魂。その二つの日本の精神性を表現した、〈グランドセイコー〉のブランドフィロソフィーである「THE NATURE OF TIME」。“時の本質”を追い求め完成した、「9Sメカニカル GMTモデル」を、ウッドカービングの匠である井出裕太氏が手にした。果たして、クラフトマンシップに共鳴したものとは。

photo: Takemi Yabuki / text & edit: Yu-ka Matsumoto

シンクロする2つの意匠。クラフトマンシップの共演

グランドセイコーの最新モデル「SBGJ271」を手に取る井出裕太さん

四季で変化する自然の中の景色を思い浮かべ、木と対峙する。八ヶ岳の麓に工房を構え、愛する山を木の彫刻で表現する作家・井出裕太さん。長野県に生まれ育ち、山に囲まれて生活してきた井出さんにとって自然はとっても身近なものであり、いつしかそこが遊びと仕事のフィールドになっていたという。

「もともとは、長野の地に根付いたアウトドア用品店で働いていました。北杜市に移住してからは、アウトドアウェアの販売代行の仕事もしていましたが、今は制作にほとんどの時間を費やしています。最初は木のメガネフレームなんかを趣味で作ったりして始めたウッドカービングですが、立体的な山を作りはじめてからは、実はまだ1年ぐらいなんです。

昔から山が好きだったこともあり、試しに彫ってみたら、自分が登って来た山々のイメージがうまく形にできたので、これは面白いなって。これまで抽象的な山の作品は見たことあるんですが、リアルで具象的なものは、あまり見たことがなかったので、これを作品として表現するようになりました」。

光と陰の調和によって生み出されるグラデーションの美しさやその繊細な表情。古来より日本人には、その「光」と「陰」に対する美意識が備わっており、私たちの感性を刺激する。日本の文化や自然を愛する心、道を極めるひたむきな精神が彫刻から見てとれた。

井出さんの作品は、山肌の凹凸や尾根筋から切り立った斜面に現れる陰影が実に美しい。そして、〈グランドセイコー〉の顔でもあるダイヤルにもまた、日本の美しい自然の景色と「光」と「陰」が刻み込まれ、見事にシンクロしていた。

ダイヤルに刻み込まれたのは、日本の冬景(SBGJ271)

〈グランドセイコー〉の最新モデル「SBGJ271」は、雪にまつわる情景がデザインに落とし込まれている。日本の伝統的な寺院や家屋にある漆塗りの床。そこに映し出される、庭の美しい雪景色をダイヤルに彫り込み、侘び寂びを感じる趣のある1本に。ダイヤルに装飾された縦のラインは、その床の板の目を表現したものだ。

「僕の作る山はすべて手作業で仕上げているんですが、この時計のダイヤル部分、淡く少しグレーがかった色合いのデザインは“雪化床”と呼ばれて、手練れの職人が1点1点、真鍮板に型打ちのプレスを施しているとか。そういう丁寧なモノづくりの姿勢は、本当に共感しかないですね」

四季折々の自然や風情を繊細に表現(SBGJ249)

1年を春夏秋冬の4つの季節で区切り、さらにそれぞれを6つに分けて24等分にする「二十四節気」という考え方が日本には存在する。季節の微妙な移ろいを感じ取る、そんな様子をダイヤルで表現した「SBGJ249」。立春から数えて11番目の小暑という梅雨が明けた時期をイメージしたダイヤルには、その頃に南から吹く白南風(しらはえ)という風に揺れる湖や池の水面が表現されている。水がゆらめく感じや夏の強い陽射しでダイヤルに反射されたその表情を楽しみたい。

「最初にこのモデルを手にしたとき、ダイヤルのデザインが日頃から触れている木の年輪に見えました。僕は樺の木を好んでよく使うんですけれど、白樺の木っぽいなって。あとは、いつも彫っている山の尾根のようにも見えるし、波のようにも見える。イメージソースが湖と聞いて、長野県の佐久にある地元の松原湖がすぐに思い浮かびました。もうそれにしか見えてこないです(笑)。風が水面を揺らす「さざ波」のようなダイヤルからは、不思議とその情景が浮かんできます。イメージを具現化したものからシーンを想像させる物作りは、僕が彫る作品にも通ずるものがありますね」。

白樺といえば、〈グランドセイコー〉にも白樺林をモチーフにしたモデルがあるそうですね?僕は白樺が本当に好きなので家の庭にも1本植えています。今度そのモデルもお目にかかりたいです」。

「〈グランドセイコー〉が掲げる自然観と、技術に裏打ちされた本質の追求。着けてみてその背景を感じることができました。特に本質という意味では、シンプルなんだけど機能美に富んでいる。それでいてデザインも洗練されているんですよね。すごく自然なのに、時計としてのデザインのカッコよさが詰まっている、そんな印象です。

これまでは、着色を施さない無垢の木の作品が中心だったが、新作には山肌に白い塗装を施した雪山バージョンが登場。

「この山の斜面を見ながら、どのルートで滑り降りてくるか、この位置からドロップして……。あ、山スキーの話です(笑)。そういうことを妄想しながらお酒を飲んだりして楽しんでほしいですね。山に行く人はもちろん、山に行かない人も部屋に置いてあるだけで、情景を思い浮かべてもらえるようにこれからも作り続けていきたいです」。

井出裕太さんの作品
こちらは、新作の冬季限定雪山バージョン。井出さんの作品作りは、小さいものだとだいたい1日で、大きい作品だと約1週間〜10日ぐらいで完成するとか。木は主に、建築現場などから出る端材が中心。「具体的な山を特定して作ることはあえてしないんです。記憶とイマジネーションだけで作るようにしています」。