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グルマン温故知新:渋谷〈Ciel Pizza〉フレンチシェフが考えた日本のピザの現在地

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「“ピザ”・脱・ナポレターナ」。日本のピザに変革の波が起きている。1990年代の大流行を経てシーンを席捲したナポリ風“ピッツァ”に代わり、小麦粉をはじめ国産食材を主役にしたメイド・イン・ジャパンの味が続々と台頭中だ。フレンチの名店が手がけた新機軸を紹介。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Kei Sasaki

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Ciel Pizza(渋谷)

フレンチシェフが考えた日本のピザの現在地

「ピザは今や日本の国民食。ならばナポリ風とかではない、独自の形があっていい」と、渋谷〈ラチュレ〉の室田拓人シェフ。ハンターシェフとしてジビエ料理で鳴らすゴリゴリのフランス料理人だが、日本人の舌に合うピザを作るべく立ち上がった。

フランス料理でもパイをはじめ小麦粉の生地は重要で、室田シェフの得意分野でもある。「日本らしさ」を追求し、国産小麦に米粉を配合した生地を完成させた。

「炊きたてのご飯の甘味、焼いた餅の香ばしさがある」生地を彩るトッピングは、ジビエで仕込むシャルキュトリや、国産チーズ、自社農園の野菜など〈ラチュレ〉でもスタメンの食材だ。米粉やジビエの活用は食品ロス削減や害獣駆除など、日本の農と食の現場が抱える問題解決にも繋がる。

レストランの技と食材で作るおいしさを幅広い層に、という思いも。「ピザ1枚から、気軽にどうぞ」と、フードコートに出店する選択にも心意気を感じる。

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