EYCK
尾州の伝統を纏う
日本の織物産地である愛知県・尾州地域で1948年に創業した織物メーカー、小塚毛織が手がける〈エイク〉は、生地作りからすべてオリジナル。旧式のションヘル織機で空気を含ませながら仕上げられたサマーツイードは、手編みのようなクラフト感のある風合いが特徴。地厚だが、表裏共に凹凸があるため肌への接触面が少なく、暑い日でも快適に過ごせる。
KENZO
剣道着の袴をモチーフに
西洋と日本の文化を絶妙にミックスした〈ケンゾー〉の2023年秋冬コレクション。元来のブランドの指針となるテーマを、現アーティスティック・ディレクターのNigoらしく、ユニークに切り取った。このデニムパンツは剣道着の袴に由来。インプリーツによって立体的に作られたワイドシルエットに、帯をイメージしたベルトを巻きメリハリをつけられる。
LEMAIRE
人気パンツが今季も登場
リラックスした穿き心地とすっきりとしたシルエットを両立させた、〈ルメール〉の定番パンツ。秘密は、太ももに及ぶ無数の深いプリーツ。このパターンを採用することで、極太な見た目にならず、生地をたっぷりと使い腰回りにゆとりを持たせている。一歩踏み出すたび、光沢が異なるのも特徴。シルクに混紡するナイロンの割合にも独自のこだわりがある。
SHINYAKOZUKA
絵を描くように服を仕立てる
タペストリーやクッションカバーなどの家具に用いられる、ガシッと厚手のゴブラン織りの生地でなんとパンツを製作。浮かび上がらせた織り柄は、20世紀に活躍したスイス出身の画家、パウル・クレーの作品をオマージュしたもの。服をキャンバスに見立てて、さまざまなカルチャーをクロスオーバーさせて彩った〈シンヤコヅカ〉らしさ全開の一本だ。
doublet
なにもかもが1.5倍サイズ!
思いも寄らない突飛な発想でいつも楽しませてくれる〈ダブレット〉。一般的なストレートデニムを実寸の1.5倍にリサイズしたパンツもその一つ。リベットやベルトループなどのパーツに目が行きがちだが、注目は生地。緻密に織られたインディゴデニムを糸のループが見えるまで拡大する徹底ぶりはさすが。アイテムの詳細が一目でわかるヒップパッチもポイントだ。
NEZU YŌHINTEN
立体感は前後タックに秘密あり
東京都文京区根津を拠点に、2016年から実直に続けているブランド〈ネズヨウヒンテン〉。戦後の舶来品を扱う洋品店という架空のコンセプトで服作りをしている。ダンス服からヒントを得たパンツは、膨らみのあるシルエットが特徴。これは前後にタックを入れることにより、よりボリュームが出るように計算されている。花柄のジャカード織り生地も華やかな印象に。
RAINMAKER
枯山水をイメージした柄
京都から服作りを発信している〈レインメーカー〉は今季、東洋美術に見られる非写実的な表現に着目した。例えばこのパンツは、庭園に石と砂を配置し、山水を表現した枯山水をイメージ。美しい渦をキルトのステッチで見せることで、ごく自然に落とし込んでいる。ドローコードでカジュアルにした、リブで裾を絞ったパンツのほか、ロング丈のコートやベストなどの展開もあり。
FRANK LEDER
見て穿いて、生地を楽しむ
味わい深いテキスタイルのアイテムが揃う〈フランク リーダー〉の今季の目玉は、ヴィンテージ生地で仕立てたスラックス。「織り目が美しい」とデザイナー自らが買い付けた、60年代のウール生地が贅沢に使われた。そのため数に限りがあり、世界で15本のみ。タック入りの定番シルエットにもブランドのアイデンティティが詰まっている。
OUR LEGACY
定番ジーンズに新色が登場
長く穿き込んだジーンズさながらの表情をデジタルプリントで再現する〈アワー レガシー〉の服作り。これまで展開のあった、ブラックジーンズやブルージーンズに、新たにレンガ色が仲間入り。シルエットは、リラックスして穿ける太めのストレート。クリアーのラベルなので、残暑も吹き飛ばし、涼やかな気分で着こなせる。
NICENESS
柿渋で染めた、渋いパンツ
林業で活躍する、タフなロガーパンツをベースに、柿渋染めと鉄媒染を施すことでデザインを一新。職人が一点ずつ丁寧に揉みほぐしながら染料を定着させていく手法のため、色ムラの個体差があるのも独自の味わいになっている。キャンバス素材ながらまるでスエードのようなヌメッとした質感も、この染色法の特徴。穿き込むほど色は深くなり、さらに渋くなっていく。