屋上庭園の作り方
「ある程度の日照と風通しがあれば、屋上庭園はいろんな場所につくることができますよ」と話すのは〈温室〉を主宰する塚田有一さん。ただし、地植えと違ってケアしなければならないのは水やりのしやすさや保湿の問題。屋上やバルコニーは、強い日差しや強風など環境が過酷になる。
「土の量が少ないと乾燥しやすい。土の量、保湿、排水のバランスを考えた構造が大事です」
さまざまな制約のある屋上では、耐荷重もその一つで、土の量に限界がある。この庭は荷重の問題をクリアしているので、全体を20cm高くして2層にした。また、コンテナの下底を塞がず、植物の根が深く張れる工夫も。仮に40cmのコンテナを置けば、計60cmの土厚になる、という具合に土の量を確保し、排水もできる仕組みになっている。
現在、畑用に使っているコンテナは15cmほど幅のある木枠をスタッキングしたもの。植えるものによって、枠と土を増やすことが可能だ。高さや配置を変化させ、生育環境にニュアンスを与えることで植える植物も多様になる。
さらに、狭い場所を有効に使いたい場合、視覚的にもおすすめなのが壁面使い。プランターを引っ掛けたり、つる性の植物が巻きつくように工夫したりすれば、庭はぐっと立体的になる。
屋上では植える植物を選びそうだが、環境をデザインすれば「選択肢は広がる」と塚田さん。いわく「屋上庭園でも十分四季を感じられる庭はできます。空に近いのも魅力。蝶もやってきますよ」。
地植えのように周りの風景と調和した庭もいいが、限られた空間で自然を堪能できるのも贅沢なこと。屋上という人工のスペースだからこそ、理想をぎゅっと詰め込んだ庭づくりが実現できそうだ。
3つのポイント
1:水やりをしやすく、「空中湿度」をしっかりと保つ。
日差しが強い時期、水分は蒸発しやすく乾燥しがち。土の量を多くして、空中湿度を保つことが大切。地面にウッドチップを敷き詰めると照り返しも少ない。
2:日なたと日陰は、条件によって植え分ける。
屋上で育てやすいか否かはすべて建物の環境による。日がどのように当たるか、一日、一年の日照具合を調べて、日なたと日陰で育つ植物を植え分けるとよい。
3:掃除がしやすい仕組みを考える。
掃除やメンテナンスを考え、植物を詰めすぎず、コンテナも固定しすぎないように。目が行き届くような動線を考え、排水経路もきちんと確保すること。