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夜までどうする?30分余った時の、福岡での過ごし方 Vol.2

見る、食べる、買う。旅先での過ごし方は千差万別だけれど、せっかくならその土地独自の体験を模索したいもの。ならば福岡で過ごす一日はどうだろう。この街は、コンパクトであるうえに移動手段も豊富。少し足を延ばせば一風変わった水族館や離島にだって行けてしまう。ひるがえって、実は近場に予期せぬ特別な体験を得られる場所がいくつも潜んでいる。ここでは、買い物や食事はそこそこに、所要時間別の明確な実体験テーマをプランした。

初出:BRUTUS No.873『福岡の正解』(2018年7月2日号)

photo&text: Kenichi Seguchi (common), Maiko Shimokawa (common) / edit: Yoshiko Asano (nico edit)

実は愛らしい、郷土玩具の魅力を知る

今泉

福岡〈山響屋〉店内

「ダルマとは?郷土玩具とは?」。自らも絵師でありながら、その根源的な問いを抱え作家や産地を訪ね歩く旅を重ねてきた店主の瀬川信太郎さん。彼が数々の訪問先で見知った郷土玩具それぞれの形、色、表情からは、その土地らしい風土や作り手の人柄までも感じ取れる。

美術品にない作風の“自由さ”に惹かれるという店主が、現地作家とのエピソードをリズミカルに語ってくれる時間も、福岡旅行の定番アドレスに加えたくなる理由かも。

活版印刷機で独りよがりな名刺を作る

清川

凹凸の感触やインキの擦れに独特の風合いがある活版印刷。〈日髙印刷〉3代目の日髙真吾さんが手がける活版印刷は、約10万個の鉛活字の中から文字を組み上げる古典的な技法から、印刷データを亜鉛や銅の金属版に起こすスタイルまで、さまざまなテイストのプレス印刷を自分の思うままにオーダーできる。

中でもカードに好きな書体を選んで印字する「オリジナルネームカード」は、目の前で印刷の工程を見られるのも貴重な体験となるはずだ。

商店街の穴場で、名画を横目に昼食をとる

天神

福岡〈新天町倶楽部〉店内

天神中央の商店街「新天町」の奥に、一般客も利用可能な社員食堂がある。そこがひそかなアートスポットになっていて、巨匠・岡本太郎直筆の絵画が飾られているのだ。今だからこそ、地元人は当たり前のような顔をして名画を横目に食事しているけれど、初めて「挑む」の絵を目の当たりにすると、ものものしいオーラに圧倒されるはず。

ちなみに、トレーを取って厨房前で注文する時のライブ感も、独特のいい雰囲気を醸し出しているので注目を。