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「写真はもっと楽しい。」編集後記:「人間関係」の現場から

2023年10月16日発売 No.995「写真はもっと楽しい。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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「人間関係」の現場から

ブルータスで写真といえば、篠山紀信さん撮影の「人間関係」。1992年に始まり今号で710回を迎えた、きっと世界でも稀な長寿連載です。毎回、篠山先生本人と人選を練り、「時代を疾走している人」と「その関係」をゆかりの深い場所で、8×10の大判カメラで撮影。

一度構図を決めたら動かず、シャッターを切るのは数枚のみ(出演者の写真チェックは一切ナシ)。そんな現場ですから緊張が走ることもありますが、たいてい先生の話術と素早い仕事であっという合間に撮り終えてしまいます。

その後はだいたい和やかな雰囲気で、先生を交えて記念撮影が行われるのが恒例。後日、事務所に伺って先生と上がってきたフィルムを眺めてセレクトし、持ち寄ったタイトル案を絞り込むのがおなじみの流れです。

自分が担当のバトンを受け取ってまだ2年も満たないですが、今の今、この稀有な撮影現場そのものを切り取っておきたいと、今回ページを作らせてもらいました。今号の「人間関係」に出演している長瀬智也さん、長州力さん、篠山さんの姿や表情から、現場の空気を感じてもらえたら嬉しいです。

そして日藝(日本大学藝術学部写真学科)の同級生で、まさに隣で研鑽を積まれてきた沢渡朔さんと先生に「今、どんな思いで現場に立っているのか」の問いを投げかけました。

2人が言葉を交わしたのは意外にも約30年ぶり。ゲストも登場し、対談は小気味よく進んでいきますが、話題は写真にとどまらず、その一言一言が人生訓のように身体に入っていくはずです。ぜひタイトルの「写真はもっと楽しい」を体感してみてください。

〈ディアドルフ〉の8×10
あの『Santa Fe』の撮影にも持っていったという〈ディアドルフ〉の8×10。(撮影/木寺紀雄)

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