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「山を、歩こう。」編集後記:人はなぜ、山に登るのか。とか、考える必要ある?

2023年6月15日発売 No.987「山を、歩こう。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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人はなぜ、山に登るのか。とか、考える必要ある?

私が山に登るとき、そこには必ず“目的”がありました。
仕事柄、人があまり行かない場所にも行っています。
五島列島の無人島の山に登ったり、エチオピアの火山の頂まで夜通し歩いたことも。
でも、それは山頂にある奇岩や、マグマの滾る火口を目にする、というモチベーションがあったから登れたものです。
だから逆にいうと、目的なしに山に登ることはありません。でした。

“山好き”を自称する人でも、意外と私のような人も多いのではないかと。
百名山に選ばれているあの山を登った。標高何メートルだった。何時間で登り切った……。
山はクリアすべき対象であって、スタンプを集めることに喜びを見出しているような。

でも、それは損をしていると山好きの人に言われました。
別に山頂を目指すことだけが、山の魅力の全てではない。というか、むしろそこが主ではない。
山を歩いたときのことを振り返ってみると、見たこともない花を目にしてもスルーしてなかったかしらん。不思議な鳴き方をする鳥の声をちゃんと楽しんでいたかしらん。
たしかに、損をしていた気がします。

「なぜ、山を登るのか」。
気持ちいいから、っていうバカみたいにシンプルな答えを忘れないように、今後はまたなんとなく山へ行けたらいいと思います。

俳優の井浦新
今回の特集では、俳優の井浦新さんと一緒に西表島の原生林を歩きました。地元の人に「夏の夜明けに、一晩で散るサガリバナの花びらが浮かぶ川面の幻想的な光景もすばらしいですよ」と教わり、再訪を決意。同じ場所でも季節が変わると違う魅力を見せてくれる、というのも山の良さですよね。(撮影/網中健太)

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