恵比寿のアートブックショップ〈POST〉で店主の中島佑介さんが作家や本の作家やコンセプトについて解説してくださった時に、ビジュアルだけを追っていた外国語の本が、急に3次元的な立体感をもって感じられた時がありました。また、蔵前の〈蕪木〉のチョコレートの口溶けについて店主の蕪木祐介さんに伺った時に、元研究者ならではの視点で作られる工法に感服したことがありました。(蕪木さんは元大手メーカーの研究者)。
お店で買い物をする時、直接のコミュニケーションを通して、作家や生産地の背景について聞いたり、実際に手で触って商品の素材感や大きさや重みを感じたりすることで、気づきがあったり、生活や仕事のヒントを頂けることがあり、その体験には値段以上の価値があると感じます。
大抵のものがオンラインで購入できる昨今に、わざわざ店を構え、客が実際に商品に触れられる空間を用意してくれている、そこに込められる店主の思いを、表面的な話に終始することなくご紹介したい、それが今号の始まりでした。
そして特集を作り始めた時の会議で先輩が言ってくれた言葉で、紹介するお店の方向性もクリアに。「仏像作って魂入れず、みたいにガワだけ立派なお店もたくさんあるけど、今回の特集で紹介したいのは、ちゃんと魂がある店の、魂の部分なんだよね」まさに!
今号では、目利き・腕利きの店主が営む魂込められた品揃えの店で、一部ではありますが、彼らの思いをご紹介しています。
桜も満開、本格的に暖かいシーズンが到来しています。ぜひ、リアルショッピングにお出かけください。