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「サウナ、その先の楽園へ。」編集後記:近場サウナーにこそ読んでほしい一冊

2022年12月1日発売 No.975「サウナ、その先の楽園へ。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

photo: Tetsuya Ito

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ブーム著しいサウナ。メディアで話題になる機会も増えました。そんなサウナを一大ポップカルチャーと捉え、アート、建築、ファッション、フード、音楽など、あらゆるジャンルに拡大し続けるシーンの最前線をまとめた特集です。

「DIYサウナ」を扱った記事では、既存の施設では飽き足らず、自分の好みにあわせたスペシャルなサウナを自分で一から作っているサウナーたちを取材。中でもステンドグラス作家のレオ・タニワさんがご自宅に作ったサウナ小屋は、ベランダのスペースを上手に利用した、ミニマムかつ居心地のよい極上の空間でした。私も取材後にしっかり1セット、水風呂、椅子までお借りし、すっかりととのってしまいました。(そして会社に戻りました)。

個人的には、2016年頃に節約国内旅行の最中、行く先々で泊まったカプセルホテルのサウナで、その気持ちよさに驚いたのがサウナ好きになったきっかけ。何も知らずに入った名古屋の〈ウェルビー今池〉では、サウナ室に突然タオルを持った男性が登場。物々しい雰囲気になっていき、自分だけ何が起こるのか全く分からずドキドキしていると、いきなり男性がタオルをふりまわして風を送ってくる、そしてそれがめちゃめちゃ熱い。熱波との強烈な出会いでした。

以来、当時近所だった上野の〈寿湯〉、鶯谷の〈萩の湯〉にはよく通いました。真冬にサウナに入った後、薄着で自転車に乗る帰り道。青春の思い出です。とはいえ、現在も一番利用しているのは近所のカプセルホテル併設のサウナで、結局サウナは好きだけど、それを目的に遠出することもなく、90分1000円の近場の施設で十分というタイプ。ブームに乗り切れずにいました。意外と、そんな近場サウナーも多いのではないでしょうか。

今回の特集は、そんな近場サウナーも、一歩サウナ愛を深められる、サウナを趣味として語りたくなるような一冊になったと思います。日常のリラックスの場としても、非日常の快楽の場としても機能するサウナ。まだまだこれから寒さも本番というこの季節、皆様のととのいのお供にぜひ。

レオ・タニワさんがご自宅に作ったサウナ小屋
レオ・タニワさんがご自宅に作ったサウナ小屋。アメリカ製の馬の水桶を利用した水風呂もお洒落です。

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