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「民放ラジオ99局と作る松任谷由実特集 」 編集後記:ユーミンが“当たり前に”なっているあなたへ

2022年10月3日発売 No.971「民放ラジオ99局と作る松任谷由実特集」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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最高の語り手であり、最高の聴き手/聞き手であるラジオパーソナリティ。今回、松任谷由実特集を作るにあたり、彼ら彼女らにユーミンの凄さについて伺うというのは、とても自然な流れでした。そしてその深い洞察に感銘するたびに今までの曲を聴き直すのですが、ユーミンが実はこれだけの完成度を持った楽曲をことも自然に全国民に聞かせ続けてきたのだ、という事実に改めて驚くのです。

正直、私も今まで音楽性ということまではことさら意識せず、むしろ体感で聴いてきたひとりです。実家で、スキー場で、カラオケで、もちろんラジオで、気がつけばユーミンの曲はいつもどこからか聞こえてきて、つい口ずさんでいました。

今回、ご本人へのロングインタビューの中で語られていたこんな言葉が印象に残っています。「この先の25年もまた新しいことをやっていきたいんです」。AIとかいろんな可能性もあるしね、と笑いながら言ったその言葉は冗談めかした感じでもなかったし、聞いていた私たちも何の疑問にも思いませんでした。

ユーミンとは普遍で、不変である。ユーミンが“当たり前に”なっているあなたにこそ、ぜひ読んでみてほしい特集です。

荒井由美『HIKO-KI GUMO』ジャケット
今回の特集制作を通じてよく聴いた曲のひとつは「雨の街を」。若い頃は荒井由実時代の歌をそこまで深掘りすることもなく、「ひこうき雲」や「やさしさに包まれたなら」といった有名曲止まりでした。その歌い出し、その飾り気のない旋律。どうして今までこの曲を飛ばしていたのだろうと深く後悔。

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