「夏のカルチャー計画」特集 編集後記:達人たちの眼差しを通して語られる、アート、映画、舞台、ライブ……

2022年7月1日発売 No.965「夏のカルチャー計画」を担当した編集者がしたためる編集後記。


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あの夏が帰ってきました。去年も一昨年もなかった、イベントいっぱいの夏。この数年で、私たちは「今年は見られないけど、来年ね」がないかもしれないことを知りました。そう、夏のイベント、「見逃し配信」はないんです。だから、どこで何が起こるのかを把握して、夏の予定計画して、満喫したいよね。

そんな思いで、はじまったこの企画。ひと足早く始まったアートイベントを皮切りに、ライブや舞台、フェスなど続々と。今回、それらの注目イベントについて、“カルチャーの達人”にナビゲートしていただきました。

初日から大盛況、〈国立近代美術館〉の「ゲルハルト・リヒター展」は、著書でリヒターのあるシリーズの再現をしている写真家のホンマタカシさんが撮影と解説を。この夏公開のロック映画をブロードキャスターのピーター・バラカンさんに、ハマっているという韓国ドラマについて作詞家の松本隆さんに語っていただいたり。〈十和田市現代美術館〉で始まった「名和晃平 生成する表皮」については、音楽家の小林武史さんが現地を訪問、ご自身の解釈を語ってくれました。誰かの眼差しを通して語られると、自分も、同じように感じるかな?と追体験したくなるのです。取材ですでに見ているにも関わらず、原稿を読んだ後に、また確認したくなったり。

そして、京都ではじまった「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」は、京都を拠点に活動する、作曲家の原摩利彦さんに解説をお願いしました。環境音楽の先駆者、ブライアン・イーノの音と光の館で繰り広げられる世界、原さんはどう体験したか、詳しくは本誌をご覧ください。今回、モデル・女優・歌手のモトーラ世理奈さんもイーノの世界を体験。映像作家の柿本ケンサクさんによる動画を、YouTubeで配信しています。イベントの世界観が垣間見えるスペシャルコンテンツも、お見逃しなく。

BRUTUSブルータス 夏のカルチャー計画 編集後記
「BRIAN ENO ANBIENT KYOTO」より「77 Million Paintings」。枯山水のような砂山の配された展示室に、万華鏡のように刻一刻と変わる映像が映し出される。見る人の状態によっても、印象が変わりそうな、ずっと見ていたくなる映像と音の世界。
十和田市現代美術館で開催中の「名和晃平 生成する表皮」より最新作《Biomatrix(W)》。シリコーンオイルが隆起しては弾ける作品。作品のそばに座って、破裂音に耳をすませるのもよし。

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