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「#全世代に捧げる歌謡曲特集」編集後記:歌謡曲の話をするなら、まずはこの人から。

2022年3月1日発売 No.957「#全世代に捧げる歌謡曲特集」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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歌謡曲特集を担当することになり、真っ先に浮かんだのが、沢田研二さんが表紙のBRUTUS「歌謡曲’96」号(写真下、1996年)。

「ロックと歌謡曲を戦わせたい」という沢田研二さんの撮り下ろしインタビューから、A.K.I.(ラッパー)さんによる序文、<小沢健二の『LIFE』を初めて聴いた時、「もう、サブカルチャーなんか、どうでもいい!」とか思った。「なんか、もっと、ちゃんと恋愛とかしたいな」とか思った。「バニティーに生きてーな」とか思った。>という三連コンボのパンチラインに当時、痺れたものです。

そして時は流れて2022年。今回の歌謡曲特集をどう作ったらいいものか…。やはり、ここは「気分は歌謡曲」「考えるヒット」など「歌謡曲批評」のオリジネーター、近田春夫さんからお話を聞いてみよう、と昨年末、お会いしました(本誌のP12「気分は歌謡曲2022」に掲載)。

インタビューは約2時間。それはもう、細切れのピースを一つのサーガに纏め上げた、見事な日本の歌謡曲のオーラル・ヒストリー。歌謡曲は昭和で終わったのではなく、そのミームは平成のJ-POP時代を経て、令和のミュージシャンに継承されている、という視点をもらうことで、特集の方向が定まりました。

表紙の西城秀樹さんはポップアイドルにしてロックスターという相反する離れ業をやってのけたスターであり、その後のミュージシャンに大きな影響を与え、そして今、老若男女に広く聴かれている米津玄師やYOASOBIはまさに令和の歌謡曲。

なつかしくて新しい「歌謡曲」の世界をぜひ。

斉藤和義(本誌担当編集)

BRUTUS ブルータス 1996年2月1日 歌謡曲'96
BRUTUS 1996年2月1日号「歌謡曲’96」特集号。担当編集は岡本仁さん(元「relax」編集長)、沢田研二さんの撮り下ろしページのアートディレクションは小野英作さん(元「relax」AD) 、カメラマンは野村浩司さん。今見てもまったく古さを感じさせないビジュアルはぜひ見て欲しいです。バックナンバーなどで入手可。

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