歌謡曲の特集を作るにあたり、シティポップをどう扱うか悩みました。山下達郎、竹内まりや、細野晴臣、大貫妙子、吉田美奈子など、70〜80年代の洋楽志向な日本のポップスが「シティポップ」と呼ばれ、若い世代や海外から人気を得ている。これはここ数年ほど様々な場面で語られていることです。
いま、このブームをどう扱うべきなのか。そもそも歌謡曲の中にシティポップを加えてよいのか。考えれば考えるほど、置きどころに迷っていきました。
そんな中、思い出したのが、日本の10代の若きミュージシャン、関口スグヤさんの存在。並々ならぬレコード、特にはっぴいえんどへの愛と、それらに影響を受けた音楽活動が話題の人です。昨今のブームと関係なく、幼い頃から自分の好きな音楽を素直に掘っていく上で、シティポップと出会った経緯を語ってくれました。
また、彼の大量の私物レコードをめいっぱいスタジオに広げて撮影。関口さん自ら「これはこっちかな、これがここならあれは…」とレコードを並べ、その波の中へ寝そべってもらうことに。それはまさに、シティポップ好きの頭の中がそのまま立ち現れたかのような光景だったのでした。
村田健人(本誌担当編集)