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「ラブソング」編集後記:ラブソングは、みんなのもの

2025年10月15日発売 No.1041「ラブソング」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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ラブソングは、みんなのもの

「私たちが若い頃って、“邦楽=ラブソング”っていうくらいラブソングで溢れていた。だから、音楽をやると決めてからも作る曲は自然とラブソングになっていったんです」

本誌に登場してくださった元〈GO!GO!7188〉のギター・ヴォーカル、現在はバンド、チリヌルヲワカのフロントマンとして作詞作曲も務めるユウさんは、取材中にそんなことを話してくださいました。

それは30代後半の自分にとっても、深く頷ける言葉でした。

たしかに恋や愛というものを知らない歳の頃から、私たちはたくさんのラブソングを耳にし、そしてその意味がわからずとも、時に突き動かされ、時に深く心に染み込ませてきました。

たとえば〈GO!GO!7188〉の名ラブソング、「こいのうた」。

「生きてゆく力が その手にあるうちは笑わせてて いつも いつも 歌っていて 欲しいよ」

この曲を聴いていた学生時代、その歌詞を聴いて思い浮かべるのは、大好きな友人たちと、家族と、追っかけをしていた芸能人の顔だった。私にとってこの曲は“恋愛の歌”ではなかったかもしれないけど、紛れもなくラブソングだった。

時を経て、愛にはいろんなかたちがあること、そもそも恋愛をしない人生があったっていいこと、“愛”というものの存在自体を疑ったっていいこと……新しい感情や、知らなかった価値観が少しずつ自分の中に蓄積されていったいま。

改めて、“ラブソング”とカテゴライズされた音楽はそれでも、どんな人の心も取りこぼさず、抱きしめてくれるように存在しているのだと特集を作りながらしみじみと感じたのでした。

「歌うという行為、音楽を紡ぐという行為、それを誰かに届けたいと願うこと自体も愛だと思う。だから、私は世の中にある曲のほぼすべてはラブソングだと思うんです」

これは、同じく本誌で取材に応じてくださった、チャットモンチーの元ドラムで、作詞家、作家の高橋久美子さんの取材中の一言。

この世のどこかにきっと、自分の人生のテーマソングになるようなラブソングがあるはず。それを探しに、ぜひ本誌のページをめくってみてください。

ガラケー、MD、CD
実家のダンボールの奥に眠ってたモノたち。いろんな場所で、いろんな人と、ラブソングを聴いてきたなあ。
No.1041「特集 ラブソング」ポップアップバナー

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