この夏は、「自分なりの冒険」の旅へ
今回の特集では陸海空にそれ以外も、地球上のさまざまなフィールドで“冒険的な活動”をしている方々にインタビューをさせていただきました。「これこれこういう内容を伺いたくて、『冒険者たち(仮)』というタイトルの一冊を作りたいんです」。そんな企画説明から取材が始まるのですが、表現やニュアンスは違っても、多くの方の第一声は次のようなものでした。「僕、実は自分のことを冒険家だと思っていないんですよね」。
すわ企画倒れか、と肝を冷やすのですが、さらにこう続きます「でも、(冒険家と)まわりから言われることも多いし、別にそう表現いただいても大丈夫ですよ」。かくして「冒険者たち」というタイトルのまま、この一冊が編み上がります。
とはいえ、外から見ると明らかに冒険(的)でも、本人は冒険とは思っていない。この認識の違いは、とても示唆に富みます。言われてみれば「よし!危険を冒すぞ、冒険するぞ!」と活動している人は、一人もいませんでした。ある人は人類未踏の地を目指して、ある人は今ほど文明が発達していなかった頃の生活を求めて、ある人は己の体力と技術の限界を体験したくて。それぞれ、“自分なりの未知”を欲して、好奇心の赴くままに挑戦を続けています。
どうやら、この「未知への好奇心」というのも、冒険を紐解くキーワードになりそうです。デジタル上であらゆる情報にアクセスできる昨今は、わざわざ自分の身体で体験することへのブレーキに溢れています。お金や時間がかかるし、疲れそうだし、ストレス溜まりそうだし……ネットで見られるし。それでもブレーキを踏まずに、好奇心に身を委ねて未知へと出かける冒険者、今回取材をした皆さんは誰もが生き生きとしていました。
今号には彼らの冒険譚に始まり、冒険をテーマにした本や映像などなど。心を昂らせ、自分なりの冒険に行くきっかけを詰め込んだつもりです。リスクはちゃんとケアしつつ、未知への好奇心のアクセルをベタ踏みで、この夏は「自分なりの冒険」を探しませんか。
