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「珍奇植物」編集後記:LED栽培の時代、来たる!

2025年5月1日発売 No.1030「珍奇植物」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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LED栽培の時代、来たる!

約6年ぶりとなる珍奇植物特集。今回は「インドアグリーン新世紀」というテーマでお届けします。

これまで、インドアグリーン(屋内園芸)といえば、日当たりの良い窓辺に鉢を並べ、限られたスペースをやりくりしながら楽しむスタイルが一般的でした。しかし、窓際の環境では育てられる植物に限りがあり、「やっぱり植物は外で育てるのが一番!」というイメージを抱いていた方も多かったのではないでしょうか。

ところが近年、LEDライトの進化がこの常識を大きく塗り替えました。太陽光に限りなく近い光を再現できるLEDライトの登場により、植物は窓辺から解放され、リビングや書斎、寝室など、屋内のどこにでも自分の理想の栽培空間を作り出せるようになったのです。また、屋内では気温や湿度を安定してコントロールできるため、これまで日本の気候では難しかった熱帯性や高地性の珍しい植物にも挑戦できるようになりました。植物栽培の世界はまさに“新世紀”を迎えています。

特集では、そんなLEDを活用した新しい園芸スタイルを紹介。高湿度を維持できるガラスケースの中に熱帯雨林の情景を再現したり、冷涼で明るい高地の環境を人工的に作り出して高山性の植物に挑戦したり。これまではなかなか栽培が難しかった憧れのあの植物を、自分の手で美しく育てあげるという、園芸の醍醐味を存分に味わうための楽しみ方をまとめています。

また、自生地取材では、ボルネオ島を訪れました。ボルネオ島というと、ラフレシアなどのダイナミックな植物で有名ですが、今回は植物探検家・長谷圭祐さんとともに、ジャングルの渓流沿いでひっそりと生きる小さな植物たちを観察し、その生態や魅力に触れてきました。

ライト園芸は、もともとはアクアリウムの水草栽培から派生し、こうしたジャングルの小型の陸生草本をガラスケース内で育てるようになったことから発展してきた歴史があります。このジャンルのルーツ的な植物たちですから、もちろんライト栽培にも向いていて、これを機にぜひ育ててみたい植物が盛りだくさん。

ますます広がる新しい園芸の楽しみ方を、ぜひ存分に味わってください!

多様で豊かすぎる植生の中からお目当ての植物を探す。過去の植物特集で巡ったドライエリアでの植物探しとは、また一味違う困難さ。このカオスの中に、ポツンと生えている小さな草をめざとく見つけ出す長谷さんの眼力たるや。

No.1030「珍奇植物」ポップアップバナー

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