突然ですがここでクイズです
三つ目
アウト
砂
鬼
【 】
出来ない
この、【 】に入る言葉は何でしょう?
(正解は、編集後記の最後に)
昔観に行ったお笑いライブのクイズコーナーで出されたこの問題に頭を捻り、“サザンオールスターズのある曲”のフレーズが答えだと気づいた時、なんて洒落たクイズなんだろう!と、シビれたことがありました。
その後も度々“その曲”を耳にするとこのクイズのことを思い出すのですが、次第に「日本中の誰もが答えられることが前提になっている、こんなクイズが成立する曲・アーティストはまずいないのでは?」という感動の気持ちが大きくなっていったんです。
あの日、何百人とお客さんのいるライブ会場で、答えがわかった人がぽつぽつとあげた感嘆の声と、正解が発表された時に感じた、会場を包み込む圧倒的な納得感。
誰しもの耳に残るメロディラインに、想像もしない歌詞が乗る。そしてどこか日本語でないような発音で歌い上げるのに、不思議と日本人の耳にしっくりと馴染む。
「国民的」と言われるアーティストや楽曲は数あれど、歌詞と、メロディと、歌い方と。数々の奇跡が折重ならないと、こんなふうに誰もが納得する「クイズの答え」になるような曲って生まれない。
改めてサザンオールスターズの、そして桑田さんの作る曲の力に心をつかまれたのでした。
そんな奇跡の虜になった面々に登場いただいたのが、本特集内のBook in Book『14人のファンたちが読み解くサザンの新しい音楽。』。
各界のサザンラバーズたちが、ニュー・オリジナル・アルバム『THANK YOU SO MUCH』について、そして自らとサザンのとっておきの思い出について、たっぷりと語ってくれました。
誰もが知っているアーティストでありながら、同時に誰もがひとつは自分だけの、サザンの曲との特別な思い出を持っている。
それもまたすごいことだと感じた取材になりました。
「見つめ合うと素直にお喋り出来ない」
そんな歌詞にしみじみと共感する、ちょっぴりシャイな日本人の心をひとつにできる。サザンオールスターズの楽曲のパワーに触れられる一冊を、ぜひお楽しみください。
(ということで、冒頭のクイズの答えはサザンオールスターズ『TSUNAMI』の歌詞より、「お喋り」でした!)
