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「私が知らない坂本龍一。」編集後記:今、坂本さんだったら、あの人と、こんなことをしていたかも

2024年12月16日発売 No.1022「私が知らない坂本龍一。」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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今、坂本さんだったら、あの人と、こんなことをしていたかも

坂本龍一さんが自身で立ち上げた出版社「本本堂」から出版した著書『長電話』(作曲家・ピアニストの高橋悠治さんとの共著)が、今年の8月に復刊されました。編集者の若林恵さんがこの復刊に寄せた文章「ラディカルな編集のスタイルズ」を、ウェブで読むことができます。この文章は、私が坂本さんの仕事を読み解く上で、とても重要な視点になりました。

この寄稿文は、米音楽メディアの『ピッチフォーク』が発表した「Nine Essential Ryuichi Sakamoto Collaborations to Know」(絶対知っておくべき坂本龍一の9つのコラボレーション)という記事の解説に始まり、コラボレーター=編集者としての坂本さんの功績、そして坂本さんが出版活動をどのように捉えていたかについて論じています。企画を立て、人とお金を集め、アイデアを実装する。その仕事において、坂本さんは本当にたくさんのすぐれた功績を残し、センスを発揮してきたのです。

今回の特集で、9ページ、400項目以上にわたる「坂本龍一、大年表」を制作する中でも、コラボレーションの仕事のあまりの多さに驚きました。哲学者や思想家と対談して共著を発表し、映像作家とともに黎明期のインターネットを使った実験的なアート作品を制作し、同じ意志を持つ仲間を集めて社会活動を推進し、そして本当に数え切れないほど多くの音楽家とセッションしてレコーディングやライブを行う。「今、坂本さんだったら、あの人と、こんなことをしていたかも」。そう考えることは、私たちが他者と協働して、何かしらの既存の枠組みを超えようとするとき、必ず有効なヒントになると思います。

特集は校了しましたが、私の坂本龍一研究は、まだまだ終わりそうにありません。

吉本隆明 坂本龍一『音楽機械論』
思想家・吉本隆明さんとの共著『音楽機械論』(1986年)。2009年の文庫化にあたって収録された坂本さんのインタビューでは、企画の始まりをこう振り返っている。「坂本さんと吉本さんで「音楽の話を」ということだったと思います。でもそれでは面白くないので、実際に吉本さんを音楽のスタジオにお連れして、いろいろ音を聞いてもらったり、あるいは「もしできたら吉本さんに音楽までやらせちゃおう」というのが僕のアイデアだったんです」「吉本さんが音楽に詳しくないっていうのはこっちも知ってるし(…中略…)その苦手なところに連れて行って、何が出てくるのかっていうのが僕としても見てみたかった」
BRUTUS1022号「わたしが知らない坂本龍一。」のバナー

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