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「珍奇昆虫」編集後記:夏です。3年ぶりの昆虫特集です

2024年7月16日発売 No.1012「珍奇昆虫 BIZARRE INSECTS HANDBOOK 2」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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夏です。3年ぶりの昆虫特集です

毎年恒例になりつつある「珍奇」シリーズ、今年は昆虫を特集しました。2021年12月に刊行した「珍奇昆虫」の第二弾。今回も珍妙美麗な昆虫を集め、魅惑の昆虫趣味の世界にどっぷりと浸かっていただける一冊に。前回の編集後記にも書きましたが、やっぱり、知ってることなんて何一つなかった……!

今回は特に昆虫標本に特化した企画をふんだんに盛り込みました。国内の山奥や海外の僻地に行かないと出会えない虫たちも、標本として手元に置いておくことで、いつでも思う存分観察することができます。標本にするとどうしても褪色を起こしたりするので、生きてる姿を見たいというフィールドへの憧れは膨らむばかりなのですが……。

全国の虫屋さんには遠く及びませんが、マイコレも少しずつ増えていき、そうなると悩むのが標本箱内での並べ方です。好きな種だけの箱を作りたいな、台紙張り標本だけの方がきれいかな、余白の作り方が難しい、と時間を見つけては標本箱とにらめっこ。自分なりに試行錯誤していたのですが、今回取材をしたイタリア人コレクターのマッシモ・プランディの独創的な標本箱には衝撃を受けました。「標本箱をアートのキャンバスとして捉えている」と語り、箱内に昆虫の生息地の自然写真や分布図、さらには主役となる標本に色地を敷いたり縁で囲ったりと、とにかくセンスが半端じゃない。それらは全て昆虫にまつわる知識がベースにあってこそ。そこにシビれる、あこがれる……!プランディの驚異の標本箱は、ぜひ誌面でご覧ください。

最後に、表紙に選んだのはオオツヤマンマルコガネというフンチュウです。前回に続き、フンチュウが表紙を飾るという、何とも珍奇な(?)仕上がりに。通常時の美しいフォルムと、危機を察知した時にトランスフォームする可愛らしいフォルムを並べました。頭がきっちり収まる姿が何ともシステマチックで、昆虫の持つ神秘のデザイン性を象徴する1匹ですね。

昆虫標本
コレクションしている昆虫標本を夜な夜な並び替えるというのも、昆虫趣味の醍醐味。まだまだ未熟者ですが、粛々と集めていきたいと思っています。ちなみにこの箱は知人が、ペフ板の上に一枚布を重ねて作ってくれたものです。ちょっとしたことですが、優しい雰囲気になり気に入っています。また、今号の最後を飾る企画として、グラフィックデザイナーの佐藤卓さんに「デザインのいい標本箱」を特別に制作していただきました。ぜひ誌面でご覧になってください。

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