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「珍奇昆虫」編集後記:地球生命の最先端がそこにはありました

2024年7月16日発売 No.1012「珍奇昆虫 BIZARRE INSECTS HANDBOOK 2」を担当した編集者がしたためる編集後記。

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地球生命の最先端がそこにはありました

前回の「珍奇昆虫」特集から3年。今回も宝石のように輝いたり、どことなくフォークロアな模様をまとったり、勇ましさの象徴のようなツノだったり、デザインの根源的な要素がすべて凝縮された魅惑の昆虫の世界にどっぷりと浸かっていただきます。

昆虫はわれわれ人類が誕生するはるか昔の約4億年前から地球に現れ、現在約100万種以上も確認されています。地球上で確認されている生物種の半分以上は昆虫という、圧倒的な多様性を持つ生物です。「人間が思いつく前に、とっくに虫はやっていた!」、生物界最強の多様性を誇る大先輩たちを眺めていると、そんな驚きと発見の連続。と同時に未来へのヒントも無限に詰まっていることを感じます。

そんな昆虫の造形美を極限まで引き出す、標本作家・福井敬貴さんが手がけた昆虫標本を紹介するグラビアから今回もスタート。巨人たちのコレクションを見るためにヨーロッパ取材も敢行し、サローネに沸くミラノで、見本市会場には目もくれずに昆虫を追いかけてきました。ミラノ郊外でクワガタムシの大家タローニのコレクションなどを満喫した後、ロンドンの大英自然史博物館へ。ヨーロッパの甲虫事情に精通する標本商の小林一秀さんと標本作家の福井さんという気鋭の若手2人に、大英自然史博物館コレクションの中から厳選してもらったユニーク標本グラビアは必見です。

またゴキブリスト柳澤静磨さんと作った「ゴキブリの美しさに迫る」という前代未聞のブックインブックも!不思議なことに今、特に女性を中心に人気が急上昇している「ゴキブリ」。これまで嫌われ者のイメージが強かったゴキブリの概念を覆す魅力的な美種たちが紹介されています。どうしても苦手、という人のために、ちゃんと袋とじブックインブックにしてますから、その辺りはご安心あれ(笑)。

そのほか、蛾をこよなく愛すラッパーの呂布カルマさんと、蛾類研究者の阪本優介さんにその魅力についてとことん語り合ってもらう「MOSS LOVE対談」や、科博の研究者・柿添翔太郎さんの尋常ならざる「昆虫針へのこだわり」、アートディレクターの佐藤卓さんに考えてもらった「理想的なデザインの標本箱」など、昆虫の魅力を存分に感じてもらう企画が満載。

「虫は少し苦手」そんなあなたにこそ手にしてほしい一冊です。

Pseudothyridium sapphirinumの標本
取材で訪れた標本ショー「エントモデナ」で迎えたPseudothyridium sapphirinumの標本。深みあるブルーが美しい。後ろにぼんやり写っているのは、鉱物のCorundum var.Sapphireの原石。同じSapphirus(青)な標本同士、ということで並べて箱に収めている。sapphirinumはほかの標本同様、今回も福井さんに展足をお願いした。美しい展足で揃うと、めちゃくちゃ気持ちがいい。展足の大事さを実感!

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