マイルスが与えてくれる
静かな宇宙のパワー。
おじさんの宇宙を感じる1曲。
レコーディングや制作作業の後、肉体的には疲れているんだけど、神経が過敏になって眠れないことが多い。ストレスというより、先のことをいろいろ考えるクセがあってね。そんな時、音楽を聴くんだけど、気づいたら宇宙をテーマにした曲や壮大な銀河を想起させる作品が多いんだ。
叔父のジョン・コルトレーンはマイルス・デイヴィスの楽団に所属していたことがあったから、小さな頃から家で聴いていたよ。オレにとってマイルスは、おじさんみたいな存在かな。ジョン・マクラフリンの奏でる電子シタールがヤバい「Lonely Fire」は宇宙のパワーを与えてくれるようで、熟考する能力を与えてくれる。眠れなくなるけど、ネガティブな考えは取り払ってくれる。
日本の電子音楽の先駆者が、
LAの少年に浴びせた月光。
英雄の宇宙を感じる1曲。
アニメは『ドラゴンボール』、ゲームは「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」など子供の頃からメイド・イン・ジャパンのものが大好き。中学生の頃ヒップホップにハマってから、新しいビートを探すために、毎日ラジオを聴いていた。プライムタイムはコマーシャルのつまらない曲ばかりだけど、深夜は世界中の音楽やインディばかりかける局があって。
そこでイエロー・マジック(・オーケストラ)の「Behind The Mask」の後、トミタの「月の光」がかかった。ゲームのエンディングみたいで、すごく感動した。翌日すぐCDを買いに行ったよ。70年代のトミタはタンスのように積まれたシンセサイザー《ムーグⅢ》を使って電子音楽を拡張していった人だ。今でも尊敬してる。
神秘主義の作曲家が奏でる
内的宇宙への導入口。
神秘の宇宙を感じる1曲。
鳥の鳴き声を採譜していたオリヴィエ・メシアン、電子音楽の父と呼ばれるシュトックハウゼン、そして、ジョン・タヴナーの3人は、宇宙や神など、絶対的な存在を、人間の内面に響かせ、その影響を音楽にする、神秘主義の作曲家と呼ばれている。中でもタヴナーは幾度も改宗しながら音楽を作り続けた伝説の作曲家だ。
「Funeral Canticle」は、とてもスピリチュアルで、彼の代表曲の一つだと思う。信心深い人間じゃなくても、これを聴いたら思わず心を動かされてしまうような荘厳さがある。自分の胸の中で、魂が膨張するのを実感できるんだ。23分の曲だけど、曲が終わる頃には、真理を見つけている。というか、眠りに就いてるんだけどね。
おばさんから受け継いだ
宇宙のパワーを形にしたい。
おばさんの宇宙を感じる1曲。
アリス(・コルトレーン)おばさんは、近所に住んでいて、よくうちへ来ていたんだ。小柄で優しい人だったけど、常に強烈なオーラとパワーがあった。それは小さいオレにでもよくわかったよ。自分でも音楽を作るようになった高校生の時、おばさんのアルバムに出会った。フリージャズというのはたやすいんだけど、当時は形容しようがなく、呆然としたね。
ビルド・アンド・アークやカシマ・ワシントンなど、ジャズマンたちが奏でるフリーフォームな音楽、それを45年以上前にやっていたんだからすごいよ。共作する約束は叶わなかったけど、オマージュを捧げる曲を作りたい。おばさんから受け継いだ宇宙パワーを注入しようと思ってるよ。
ヤバい先輩が聴かせてくれる
美しいサウンドスペース。
先輩の宇宙を感じる1曲。
高校生時代、イギリスのエレクトロニカを掘っていたら〈WARP〉というレーベルに辿り着いた。ボーズ・オブ・カナダやスクエアプッシャーなど、聴き進めるうち、ちょっと変なことに気づいた。このレーベルの連中はみんなクレイジーだってこと。それだから、パワフルな音楽が生まれてくる。まさか自分の作品をリリースするとは思ってなかったね。
MVの登場人物が全員、リチャード・ジェイムスの顔に変身するエイフェックス・ツイン「Windowlicker」を見た時、卒倒しそうになったよ。でも、過去の音源を探るうち「Stone in Focus」のような美しいアンビエントもあって。幽体離脱して宇宙へ抜け出し、また自分の体へと戻ってきた瞬間に聴いてみたい音楽だ。