あの名作がさらに面白くなる。推しマンガと訪ねたいミュージアム

あの名作をもっと面白く読むために!マンガとセットで楽しみたいミュージアムをご紹介。

本記事は、BRUTUS「通いたくなるミュージアム」(2025年1月10日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

text: Ikuko Hyodo

マンガで描かれている時代背景や設定、モチーフに関する知識があれば、物語の解像度がぐんと上がって見えるかもしれない、と感じたことはあるはず。もちろん、よくできたフィクションはそれらがなくても読者を存分に楽しませてくれるものだけど、知識を得たことでキャラクターのなにげない言動が異なる意味を持ちだしたり、一見無関係に思えたシーンがつながったりもする。あの名作、この名作に、別の角度から光を当ててくれるような、マンガを持って出かけたくなるミュージアム。

『天幕のジャードゥーガル』をもっと面白く読むなら、豊岡市立日本・モンゴル民族博物館へ

『天幕のジャードゥーガル』トマトスープ
主人公のモデルは実在の人物。モンゴル帝国の捕虜となって後宮に仕えるも、国を揺るがす魔女として恐れられた。同時代の他国よりも地位が高かったといわれる、女性たちから見た強国の描き方が新鮮だ。既刊4巻/秋田書店。
©トマトスープ(秋田書店)2022

知られざるモンゴルの歴史、宗教、暮らしを体感

兵庫県豊岡市の自然豊かな但東町にある、日本でも珍しいモンゴルをテーマにしたミュージアム。但東町は町おこしの一環として、80年代からモンゴルと交流してきた経緯があり、在モンゴル日本国大使館に勤務していた人物(のちの2代目館長)が、膨大な資料を町に寄贈。念願のミュージアムが1996年に開館した。館内には移動式住居ゲルが再現され、家具や生活用品などの展示を通して、草原での暮らしをイメージできる。シャーマニズムやチベットの影響を受けた仏教美術も興味深い。

『ディノサン』をもっと面白く読むなら、ベネックス恐竜博物館へ

『ディノサン』木下いたる
生き残りが発見され、再生された恐竜を飼育・展示する恐竜園が舞台。ある事故を機に恐竜ブームは下火になり、経営難に陥っている恐竜園に新人飼育員が入社。「現代に恐竜がいたら」という空想を隅々まで可視化してくれる。既刊7巻/新潮社。
©木下いたる/新潮社

復元ロボットとして現代に蘇った恐竜と遭遇!

長崎県では、2004年に大型植物食恐竜の化石が発見されたのを機に、1,300点以上の化石が採掘された。その現場に近い野母崎(のもざき)に立地する博物館で、ここで採掘された化石を含む180点以上の標本を展示。見どころは、全長約13mにも及ぶティラノサウルスの全身骨格レプリカや、最新の学説に基づいて羽毛や鱗を再現した復元ロボット。『ディノサン』の世界が現実になったような感動が。同じ〈長崎のもざき恐竜パーク〉内には恐竜がモチーフの遊具や軍艦島資料館も。

『タケヲちゃん物怪録』をもっと面白く読むなら、湯本豪一記念日本妖怪博物館・三次もののけミュージアムへ

『タケヲちゃん物怪録』とよ田みのる
“タケヲちゃん”こと稲生武夫は、世界一不運な女子高生。一人暮らしを始めたのはまさかの妖怪屋敷で、連日彼女を怖がらせようとするのだが……。高いテンションが癖になる、ピースフルな妖怪譚。全7巻/小学館。
©とよ田みのる/小学館

《稲生物怪録》の舞台で、妖怪たちと戯れる!

本作のモチーフは《稲生物怪録》という、江戸中期の三次を舞台にした、ベストセラーの妖怪物語。そんな妖怪と縁の深い三次(みよし)に、妖怪研究家の湯本豪一が自身のコレクション約5,000点を寄贈して設立されたのが、このミュージアム。常設展『日本の妖怪』では、絵巻や錦絵、玩具などから、妖怪と人々の生活の密接な関わりを紹介。同じく常設展の『稲生物怪録』では本や絵巻を中心に、実在した主人公と歴史背景、物語の魅力を解説。

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