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進化する日本の香水〈Liberta Perfume〉。自然豊かな島から生まれる、香りのクリエイション

香水は西洋のもの、という考えはもう古い。日本発のフレグランスも続々誕生し、世界で評価も上昇中。今、日本人ならではの繊細な感性が生み出す香りに迫る。

photo: Kazufumi Shimoyashiki / text: Tsuyoshi Ode

リベルタ=自由という名を冠し、“香りの民主化”をコンセプトに2020年に誕生した〈リベルタパフューム〉。

創業者で調香師でもある山根大輝さんは、オーダーメイド専門の香水ブランドで培った調香とカウンセリングの知見を独自のアルゴリズムに落とし込み、その人に合った最適な香りを診断できるシステムを開発。日本初の“パーソナライズ・フレグランスシステム”を確立し、ポップアップとオンラインの2軸でブランド展開を始めた。

「嗅覚は本来、人間の本能的、直感的な感覚。にもかかわらず、香水は大量生産された既製品の中からしか選べないのは物足りない、そう感じたのがブランドを始めたきっかけです。香りはもっと開放されるべきで、楽しみ方の幅も広がるべき。誰もが自分の好みを知って、長年愛せる香りをまとえるような時代を作りたいのです」

そんな山根さんの熱い夢の一手となったのが、2023年、東京・中目黒にオープンした初の路面店「ラボパフューマリー」。自分だけの香水を作れるフルオーダーのサービスを開始した。

〈Liberta Perfume〉中目黒の旗艦 店内
カウンセリングの結果は店内にあるラボに送られ、即座に調合される。選んだ香料が香水になる過程をガラス越しに見られるのも醍醐味。

まず、プロのパフューマーがざっくばらんに希望の香りのコンセプトや、インスピレーションをカウンセリング。その後約1時間かけて数十種類の香料を試し、5本のサンプルを調香。その中で最も気に入った1本を決め、当日には商品として持ち帰ることが可能だ。また、店の棚には日本文化に深く根づいた「茶」と「酒」の香りなど、約20種類の完成品、プレタポルテコレクションもずらりと並ぶ。

〈Liberta Perfume〉香水の調合作業
オーダーメイドではメインとなる6つの香調から、1%単位で調合し、その人だけの香りが完成する。

「実は日本人パフューマーは宇宙飛行士より少なく、50名ほどしかいないんです。その数を10倍、100倍に増やすことが私たちの役割だと思っています。子供向けのワークショップや、次世代のパフューマーの育成も始めました。やがて世界に誇れるクリエイティブなチームを作って、香りの業界全体の民主化を目指せたらと思っています」