充電時間さえ、幸福な時間に。eriと愛車・テスラのカーライフ

面倒ではと懸念していた充電時間さえ、幸福な時間に。「その間に本屋に行ったり、メールを返したり。ゲームに夢中で気づいたら充電が完了していることも」と語るeriさん。愛車・テスラの快適な車内が作る、余白時間。

初出:BRUTUS No.1006「Car Life」(2024年4月15日発売)

photo: Saki Yagi / text: Maki Kakimoto (Lita)

快適な“動く部屋”で毎日の選択肢が増えた

18歳になってすぐに免許を取ったというeriさん。このテスラは7台目。1つ前のクルマは、気に入って長く乗っていたという四駆のガソリン車。乗り換えたキッカケは、気候変動とのこと。

「週の半分は運転しています。18歳で免許を取って以来ずっと運転がとても好きなのですが、今この運転中に排ガスを出していると考えると、好きな運転時間が同時に辛い時間にもなっていって……。電気自動車に替えても、電力会社を選ぶことはできなかったりと、すべて問題解決!という話ではないのですが、それでも精神的なストレスがだいぶ減りました。

そもそも長年乗ったクルマを大事に乗り続けることと、電気自動車に乗り替えることでまず悩んでいて、信頼する研究者の方に相談してみたところ、ガソリン車をなくすためにみんながEV車に切り替えていくことが必要だよと言ってもらい、決心を。乗っていたクルマを父親が引き継いでくれることになり、タイミングも良かったんです」

電気自動車に替えると決めて、そこからテスラのこのモデルに決めるまでは時間はかからなかった。

「普段から新しいものを買うという消費をなるべく避けているので、中古車で探し始めました。街中に適したコンパクトサイズという利便性、デザイン的にもこのモデルがいいなぁと。山に家もありますし、出張にもクルマで行くので長くバッテリーが持つロングレンジを選びました」

〈DEPT company〉代表・eri
山の家に行く時は、直線の道では自動運転にしてのんびり向かうことも。ラジオを聴きながら変わりゆく景色を楽しみ、向かう途中からリフレッシュされていく。

ネクストステップを日々体感させてくれるクルマ

電気自動車に替える際、懸念していたのは充電時間。待つ時間が面倒なのでは?とそこだけが不安に。

「実際に充電してみると、不安とは全く逆で、幸福な時間をもたらしてくれたんです。一つの部屋を新しく借りたような気分。動く部屋ですね。仕事、休憩、遊びなどの時間が移動時間中にも否が応でも入ってくることがとても心地よかったんです。微妙な時間にオンラインミーティングが入っていても、移動中にさっと止めて車内でできるので、むしろ時間が節約されているかもしれません。

アイドリングが好きではないので、今までは冷暖房を切って凍えそうになりながら車内でしていたことも、今は冷暖房付きで快適な状況でできるようになったことは私にとって大きな進歩です。ガジェット好きとしては、携帯にすべて紐づいているからガソリン代と電気代の比較などを可視化して体感できるのも楽しみの一つに。電気になってストレスが軽減されただけでなくお得!と嬉しくなっちゃいます」

充電時間さえも新しい幸福な時間となっているというeriさん。

「電気自動車に替えたから、万事がOKなわけではないしテスラというブランドを愛しているわけでもないんですが、快適な車内時間という新しい生活様式をもたらしてくれたこともまた事実です。一度給油から離れた生活を送ってしまうと、今では“私もガソリンスタンドに行っていたのだ”ということを不思議な気持ちで思い出します。電気自動車がネクストステップを日々体感させてくれています」

運転時間は昔から、インスピレーションが生まれる時間。

「運転は、クルマと一体となって大きな自分が動いている感覚。体が自然と動いて運転をしてくれるので、注意しながらも同時に何となく考え事をしていることも多いです。運転と考え事が同時に行われている周波数が、自分の中でインスピレーションが生まれやすい瞬間なのかもしれません。

もともと同時に2つ、3つのことをするという“ながら行動”が好きなので、ニュースは基本的に運転しながら聴いています。それによって“次は何をしよう”などどんどん考えが膨らんでいき、車を止めてその思考をメモしたりしています。新しく持った電気で動く部屋は、これからも私の生活を変えていってくれそうです」

〈DEPT company〉代表・eri、テスラ「Model 3」
電気自動車で考えた時、デザインやガジェットに惹かれテスラに即決。「好きな色に塗装することが多かったのですが、しばらくは既存の黒で乗ってみようと思っています。若干すでに飽きてきてはいますが(笑)」