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DIYをはじめる。素材を最小限に絞ってサイドテーブルを作ってみよう

一生ものの趣味をはじめる。休日の過ごし方は、働き方と同じくらい重要。楽器にスポーツ、アウトドア。かつて習っていたもの、興味はあってもなかなか手が出なかったものも。心身を癒やし、毎日の活力をくれる“パートナー”のような趣味を。

photo: Kazuharu Igarashi / text: Chisa Nishinoiri / edit: Emi Fukushima

教えてくれた人:元木大輔(建築家)

素材を最小限に絞って作る。

今どきホームセンターに行けば、あらゆる材料、プロ顔負けの道具が手に入り、DIYはますます身近な趣味になりつつある。

しかし、そんな便利な時代だからこそ、「あえて制約や制限を設けることで、初心者でも取り組みやすく、よりクリエイティビティを発揮しやすくなる」と、建築家の元木大輔さんは言う。もの作りにおける独自の哲学を生かした元木さんのDIYは、実に画期的。

「例えば、ウレタンしか使わない、アルミしか使わない、といった具合に素材を限定してみる。あるいは、重たいものは使わない、釘は使わない、など、手段を制限してみる。そうすると、素材と向き合わざるを得なくなるし、うまくいかないから色々と工夫をしなくちゃはじまらない。

その過程で生じる気づきや工夫こそ、より面白いものを作る原動力になると思うんです。完成形よりも、過程での気づきや考え方を追求する。一つのアイデアだけで、もの作りを探求し、制限のある中でいかにファンタスティックなプレーを発揮できるか。それこそ、DIYを楽しむ秘訣だと思います」

元木さんといえば、道路脇のガードレールを活用したベンチを設置したり、ウレタン素材をプチプチの梱包材でラッピングして、荷締め作業などで使われるラッシングベルトで巻いた簡易的なソファを発表したり、市販の食器洗い用スポンジを組み合わせた多目的ラックや、スポンジシートとダブルクリップだけで112ものバリエーションのフルーツボウルを考案したり。

その発想はまさに「工夫の連続」。視点を変えるだけで、あらゆるものが素材になり、すでにあるものを活用するだけで環境はますます豊かになる。

そしてもう一つ、DIYで大切なのは「技術や経験、設備投資がなくても、誰でも簡単にできる」こと、とも。都心の限られた住環境では、作業スペースの確保やら、掃除やゴミの後始末やらと、一苦労。張り切って揃えた道具だって、結局収納場所に困る。そうなっては本末転倒。そんな状況でも手を出しやすいプロダクトが、元木さん考案の「クランプテーブル」だ。

「クランプ、つまり万力とは、工作作業などで材料を挟んで固定する工具。道具であるクランプをそのまま素材として活用すれば、余計な買い物もしなくて済むし、実に合理的。

土台はアルミ板など薄くて曲げやすい素材ならなんでもOK。エキスパンドメタルやトリカルネットなどでも代用可能です。クランプは大きさ、素材、デザイン性のバリエーションも豊富なので、選ぶのも楽しいんですよね」

そのうえ、作り方は驚くほど簡単!これからDIYに挑戦してみようという初心者にも、うってつけのプロダクト。好みの素材を組み合わせて、自分だけのテーブル作り、はじめてみてはいかがだろうか?

実際にサイドテーブルを
作ってみよう。