窓辺や棚、適材適所に飾る。好きな時、好きなように愛でる
「鉱物は、想像する余白がいい。なぜこんな色や形をしているのか?ここに至るまでに何が起きたのか?何もあざとくなく、美しい存在」と話すのは、アートディレクターの峯崎ノリテルさん。ニューメキシコやスリランカなど仕事で秘境を訪れると、撮影そっちのけで足元の石に夢中になってしまうほど、石に魅せられた一人。コツコツ集めた鉱物は、普段は引き出しを標本箱に見立てて棚の中にしまっている。
「うちにはやんちゃな猫が3匹いて、小さな鉱物は飾っておくといたずらされてしまうので(笑)、たまに取り出して電子顕微鏡で愛でています。ミクロの世界を覗き込むと肉眼とはまた違う世界が広がって、ますます想像が膨らみます」
一方、仕事部屋の窓辺にはクォーツやカルサイトが山の木漏れ日を受けてキラキラと輝いている。そんな峯崎さんが最近ご執心なのが「水石」。
「つげ義春の漫画でその存在を知り、鉱物に興味を持つきっかけになった石でもあります。山水景観に見立てて鑑賞するさまが絵巻物にも登場する日本文化の一つで、まさに山のごとき佇まいが渋くてかっこいい。鳥瞰して石と対峙する、という新たな楽しみを知ってしまいました」