ここ10年ほどの間にベンチャー企業でバイオテクノロジーの研究開発が盛んに行われる事例が増加しており、アメリカや中国では投資対象としても注目を集めている。
今後は日本でも国が主導するバイオマスを活用したバイオエコノミーの発展が期待されるが、未知数のものも多いため、バイオに関する知識を学ぶことで本物を見極める必要がある。
バイオエコノミー
これからはバイオマスやバイオテクノロジーを利用した循環型の経済社会を作ることが重要となる。例えば、新潟県長岡市では米の生産時に排出されるもみがらを用いたエネルギー活用が実施されている。今後も国や自治体などが主導し、日本各地にバイオエコノミーの拠点が増えていくことで、経済圏が地方に回帰していくだろう。
光合成・バイオマス
近年最も注目を集めているのが、生物資源(bio)の量(mass)を表すバイオマスである。どのような方法であっても二酸化炭素を還元するにはエネルギーを投下する必要がある。
光合成は太陽光のエネルギーを用いることで二酸化炭素を還元し、バイオマスを作る。光合成は二酸化炭素を還元して資源化するクリーンで実用されている現状唯一の手段である。
藻の活用
単位栽培面積あたりの光合成効率が最も高い植物が藻である。藻の栄養が豊富な点を生かした健康食品や、藻が生成するアスタキサンチンなどの機能性成分を生かした化粧品が知られている。またバイオ燃料としての活用を目指した研究開発が世界中で行われてきた歴史もある。
現在はバイオ燃料のみならずプラスチックや食品、繊維など、人々の生活を支えるさまざまな製品を展開し、藻類産業を築く動きが活発になっている。石油依存を脱却するには藻の活用が欠かせないといえる。
PCR
Polymerase Chain Reactionの略。新型コロナウイルスの検査手法の名前として知られることになったが、もともとはバイオ研究における根幹技術のことである。DNAを増幅する手法の一つであり、法医学の場面では微量な唾液から犯人を推定するといった用途にも使用されている。
PCRにより、土の中の微生物をDNA情報を使って分析できることで有機農業を発展させたり、海の水からその地域に生息する生物の生態が解明されたりといった、バイオテクノロジーにとって非常に重要な技術である。