『無能の鷹』はんざき朝未/著
推薦者:近西良昌
堂々と意思表示する主人公に励まされる。
主人公は、一見バリバリ仕事ができるように見えるけれど、実は全然仕事ができない女性です。あまりの無能ぶりに社内ニートと化しています。
そのギャップのせいで誤解を生み、職場の人や取引先の人を毎回困惑させている主人公。しかし彼女は自分の能力を卑下したり、落ち込んだりせず真っすぐに受け止めていますし、職場では自分を偽ることなく、自己主張もはっきりとしています。
最強のメンタルを持つ彼女の姿を見ていると、「これくらい正直に発言してもいいんだ」「忖度したり我慢したりする必要はないのかもしれない」と教えられます。たまには空気を読まずに、思っていることをはっきり発言してみることが、解決の糸口になるかもしれません。
『動物のお医者さん』佐々木倫子/著
推薦者:川村豪
諦めと悟りの境地で上司と接する術が身につく。
学生や同僚から“破壊神”と恐れられ、何事も無茶ぶりする上司・漆原教授が主人公ハムテルほかの登場人物を振り回すのですが、このマンガを読むと諦めにも悟りにも似た感覚で、現実の上司と接する術が身につきます。
「そうかな…そうかも」「オレはやるぜオレはやるぜ」「このカシオミニを賭けてもいい」など、手書き文字が印象的なコマにも注目です!たびたび読み返す名作で、やる気を出したい時は「オレはやるぜオレはやるぜ」と心の中で繰り返し唱えています。
TVドラマ化もされましたし、インパクトのあるコマが多いので、令和の時代になった今でもSNSなどで話題になることがあるタイムレスな魅力にあふれたギャグマンガです。
『さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」』外本ケンセイ/著
推薦者:兎来栄寿
闘うか、逃げるのか。様々な選択肢を読む。
もしかしたらその上司だけが問題で、仕事自体や職場環境には問題がないのかもしれません。が、敢えてこの一冊をご紹介します。
こちらは実際に「退職代行」を生業とする弁護士監修の下で描かれた作品となっており、25歳のOLがそのサービスを用いてパワハラ上司のいるブラック企業を辞める物語から始まります。何かのきっかけで収まる程度のパワハラであればいいのですが、もしそうでなくそれが恒常的に強いストレスであり続ける場合は環境自体を変えてしまうのも一つの手です。
その際にこうした方法が存在し、このように退職している人もいるということを知っておくだけでも変わる部分があるのではないでしょうか。何よりご自身を大切にしてください。
『ビリーバーズ』山本直樹/著
推薦者:青柳いづみ
パワハラに立ち向かえるかどうかはわかりませんが。
見えるものだけが存在する。見えないものは存在しない。と彼らは連呼する。目に見えない安住の地を目指して。
これはある宗教に関わる人々の話であるけれど、特定の宗教心を持たない自分はこうではない、こうはならない、とはこれを読んでからは言い切れない。
ここにいるのはどこにでもいる人、それは他人かもしれないし、隣人かもしれないし、私かもしれない。現実というのは意外に地続きじゃない。夢と現実の狭間のボートに乗って向かっている「向こう岸」というのは、どこなのか。私達はどこへ行くのか。
パワハラに勇気を持って立ち向かえるかどうかはわかりませんが、この後に続いていく『レッド』もおすすめします。パワハラとかの問題じゃなくなります。