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SNSでの投稿が、がん治療研究のサポートになる。「#deleteC大作戦」に参加しよう!

SNSで投稿するだけで、がん治療研究を応援する寄付が集められる。そんな取り組みを紹介する。

text: BRUTUS

「がんを治せる病気にしたいんです」。2018年11月2日deleteC代表・創業理事の小国士朗さんにQOLデザイナーの中島ナオさん(deleteC創業理事)が伝えたひと言から「C」を消すというdeleteCのアイデアが生まれた。

誰もが参加できるその仕組みは友人や医療関係者、そして企業を動かした。そこから始まったがん治療研究の支援団体「deleteC」(デリート・シー)の活動は、「みんなの力で、がんを治せる病気にする」ことをミッションに掲げ、現時点で、小児がん、子宮頸がん、胃がん、肺がん、乳がんなどの臨床専門医や基礎研究者、リサーチナースなど8名のがん研究者に寄付(合計3,000万円以上)と啓発で支援している。

小国さんはこう振り返る。
「当時NHKのディレクターだった自分に、ナオちゃんが『がんを治せる病気にしたい』と相談に来た時、正直『僕は医療従事者でも役人でもないし、無理だよ』と思ったんです。

でも、ナオちゃんが手にしていたアメリカのがん専門病院MD Anderson Cancer Centerの名刺の“Cancer”に線がひいてあるデザインを見て、閃いたんです。『Cがつく商品名からCの文字を消した商品を売って、売り上げの一部を寄付する仕組みを作ろう!』って。そこから参加企業を探しましたが、最初は100社行ったら9割断られました。

でも、僕にできるのは頼み続けること。するとたまに、「いいねぇ、やろうよ」と言ってくださる方がいる。僕はそういう人たちを“素敵なうっかりさん”って呼んでいるんですが(笑)。タオルの〈IKEUCHI ORGANIC〉や飲料の〈サントリー〉のうっかりさんたちが賛同してくれて、2019年に商品名からCを消した限定商品を発売しました」

Instagram上で「#delete C大作戦」で検索した画面

活動が5年目の今年。毎年9月の恒例となりつつある「#deleteC大作戦」というアクションを開催している。

賛同する企業や団体の商品やブランド名の「C」の文字を消してSNSに投稿するだけで、がん治療研究に従事する研究者に寄付される。

そのプロセスを、C.C.レモンを例に説明する。C.C.レモンを購入したら、Cの字を消して写真を撮る。インスタかX(旧Twitter)に「#deleteC大作戦」と「#サントリー」をつけてアップ。すると、1投稿あたり100円の寄付が「deleteC」を通じてがん治療研究におくられる。あるいは、参加企業や団体、ブランドの公式アカウントが発信する「#deleteC大作戦」関連の画像や動画をシェア/いいね/再生をすると、1リアクションあたり10円が届けられるという。

2022年の「#deleteC大作戦」では、27,110件の投稿、982,124件のリアクションにより、12,593,440円の寄付金を集めた。今年は、9月30日まで開催中だ。

9月2日には、今年の「#deleteC大作戦」のキックオフイベント「デリシー文化祭」が行われた。参加企業や団体、学生、医療者、俳優、アスリートなど、立場を超えた200人超のdeleteC応援団が集まり、賑やかなイベントに。「『あかるく、かるく、やわらかく』という言葉がこの活動の考え方のベースにあります。身構えずに自分にできることで社会貢献をする、“カジュアルソーシャルアクション”を提唱していきたいと思っています」(小国さん)。

今年の10月には旅行会社〈クラブツーリズム〉やスーパーとのコラボレーションも予定されている。旅行や買い物が寄付につながる仕組み。こちらは10月31日まで。今後の広がりも楽しみだ。

デリシー文化祭の様子
9月2日に行われた「#deleteC 大作戦」のキックオフイベント「デリシー文化祭」に集まった参加企業や団体、賛同者。「deleteC」のメンバーはプロボノとしてそれぞれの本業を生かして活動に参加しているという。