自分たちだけに通じる合言葉が沁みる
なにげないシーンで交わされた言葉が、最後でとてつもなく重要なキーワードとなって繰り返される。沁みる映画にはそういう場面が頻出する。わかっていれば注意して観たのに。そう思えた人は、もう一度、感動し直すチャンスだ。
『スパイ・ゲーム』
作戦名には2人だけしか知らない思い出の言葉を
弟分ビショップが単独行動の末に拘束されたことを知ったCIA工作員ミュアーは、本部に内緒で救出作戦を計画。作戦名は、2人の思い出の言葉をとって「ディナー・アウト」だ。助けに来た隊員すら理解できない言葉だが、それを伝えられたビショップにだけはわかるキーワードであった。実際、ビショップはそれを聞き泣き崩れるのだった。
#アツくなる #キュンとする
父と娘の微妙なキョリが沁みる
父と娘は、家族の中でもとりわけ距離の取り方が難しい関係のようだ。多くの映画が、その難しさと、だからこその愛おしさを描いてきた。どう接すればいいかわからない父親、反抗的な態度をとってしまう娘。それだけでもないようで。
『ありがとう、トニ・エルドマン』
ウザすぎる父の振る舞いがなぜか沁みる
ヴィンフリートは、コンサルティング会社で寝る間も惜しみながら働く娘イネスが心配でならない。そこで粗末なカツラと入れ歯を装着し、隙あらばイネスを笑わせようと、迷惑も省みずくだらないギャグを連発する。明らかにウザい父だが、だんだんその努力が微笑ましくなってくるから不思議だ。
#味わい深い #不思議な気持ち
『秋刀魚の味』
自分の思い通りの結末になったはずなのに、なぜだか寂しい
妻に先立たれた平山周平。彼は友人の助言から、「まだ早い」とずっと渋っていた縁談を急に長女の路子に持ちかける。家族の世話もあるし、気になる人もいるしと乗り気でない路子だったが、失恋をきっかけに結婚を決意。周平は自分で勧めたことなのに、「ひとりぼっちか」と一人軍艦マーチを口ずさむ。
#味わい深い
『恋人たちの食卓』
料理が唯一の愛情表現だった父が、初めて人の味を受け入れる
元一流ホテルの料理長であるチューは、毎週末の晩に同居する3人の娘たちと円卓を囲んで食事をすることが唯一の楽しみだが、父に心を開かない娘たちはそれぞれの悩みで上の空。気づけば家には、かつて料理人になる夢を諦めさせた次女と2人きり。そこで初めてチューは、次女が作るスープを味わう。
#味わい深い
『レディ・バード』
母親と衝突する娘を、父は陰ながら支える
田舎のカトリック系高校に通うクリスティン。レディ・バードと名乗る彼女は進路をめぐり母と衝突していた。喧嘩が絶えない2人の仲を取り持つ父は、NYの大学に入学するための手続きを母の代わりに手伝い、旅立つ前には母が渡せなかった書きかけの手紙をレディ・バードの荷物に忍ばせる。
#共感できる #キュンとする
『SOMEWHERE』
父と娘、2人きりで過ごす夏のひととき
フェラーリを乗り回し、自身が暮らす高級ホテル〈シャトー・マーモント〉にはポールダンサーを呼ぶ。自由に生きるハリウッドスターのジョニーが、前妻の依頼で娘のクレオと数日間過ごすことに。ゲームやプールで遊んだり、夜更かしをしたり。華やかな日々の中で孤独を抱えるジョニーにとって、娘との時間は特別だったに違いない。
#味わい深い #癒やされる