話をきいた人:山西智子(東京美容クリニック表参道本院 院長)
コスメも洋服と同様、好きなもの、本当にいいものを自由に選んで楽しめば、ライフスタイルがいっそう豊かになる。シェアコスメはまさに、そんな枠にとらわれない美容アイテムだ。でも、自由にコスメを選べるほど、男女の皮膚に本当に違いはないのだろうか?
東京美容クリニック表参道本院院長の山西智子さんは「男女の肌の作りはまったく同じ、これは皮膚医学会においても周知の事実です」と教えてくれた。が、作りは同じでも、肌の質には少なからず違いがあるそう。
「一般的に男性の方が油分量が多く、水分量が少ないのが特徴です。また男性の皮膚は女性に比べて約0.5mm厚いです」
ただこれもあくまで一般論であり、個人によって肌質が違うのは当然。男性の肌の方が刺激に強いといわれているけれど、毎日の髭剃りや紫外線のダメージ、スキンケア不足などといった要因で、女性よりもむしろケアが必要な場合が多いのだ。
「いわゆる“メンズ用”はアルコールやメンソール系の成分が入っているものが多く、さっぱりはするけれど、保湿力が低い傾向にあります。もともと水分量が少ない男性は、アルコール成分の蒸発などによって、より水分が減ってしまう恐れも」
確かにべたつきが嫌で、さっぱりしたテクスチャーを選ぶことはありがち。しかしニキビや吹き出物ができやすい人や肌が荒れやすい人は、実は乾燥していることが多いそう。
「乾燥をカバーしようとして、防御反応で必要以上に皮脂が分泌されている患者さんを多く診ます。そんな人にはとにかく保湿を心がけるようにアドバイスしています」
シェアコスメを
どう選び、どう使うか
では、シェアコスメをどう選ぶか。特に決まりはなく、あくまでテクスチャーや香りの「好み」、もしくはシミやシワ、毛穴といった「肌の悩み」に従うといい。
「皮膚構造に性差はない、つまり、コスメの効果も男女で変わりません。男性もなりたい目標に向かって、化粧品の成分をチェックして選ぶのは当然です。シェアコスメを使った方が、自分が望む美しさやかっこよさに近づけると思いますよ」
そして、山西先生が声を大にするのは、スキンケアをする際の注意点。とにかく摩擦を避けることが重要だという。
「男性はどうしてもゴシゴシ力を入れて顔を洗ったりしがちですが、その摩擦がシミやシワの原因となり、毛穴が余計に広がってしまうことも」
日焼け止めを一年中欠かさず塗って、紫外線からしっかり肌を守ることも大切なポイント。「肌の老化の原因の80%が光老化によるもの」というデータもあるそう。また利尿作用のあるコーヒーを毎日飲む人ほど、水分を多くとるように心がけたい。必要最低限の注意を払いながら、自分にとって心地よく使えるシェアコスメを見つけて、思う存分楽しみたい。