Drink

長岡亮介×岸井ゆきの×STUTSのカクテルトーク。カクテルは音楽に似ている?

背筋を伸ばしていただくちょっと緊張する飲み物から、カジュアルに楽しめるようにもなったカクテル。今、みんなが選ぶとっておきの一杯は?まずは知人を介して知り合った飲み仲間だという、今を時めく3人のカクテルトークから。乾杯!

photo: Kazufumi Shimoyashiki / hair&make: Aya Murakami, Yukino Kishii / text: Shoichi Miyake

仲間と語らう、一期一会の一杯

岸井ゆきの

久しぶりです!お2人と、バーに来られて嬉しいです。

STUTS

照れますね(笑)。

長岡亮介

ゆきのちゃんのカクテル、華やかだね。さっきまで上にバルーンがのっていたけど、こんな演出もできるんだ。

岸井

飲み物をシャボン玉みたいに割って口にするなんて、初めての体験でした。楽しかったな。

カクテルグラス上に施されたバルーンを割る様子。左から、長岡亮介さん、STUTSさん、岸井ゆきのさん。

STUTS

そのカクテルのベースはジンなんですよね?

岸井

そう。このモンキー 47っていうジンは私が20代の頃にお世話になっていた方とバーに行ったときに初めて飲んで、それ以来好きなんです。グァバジュースで割ると新鮮で特別なおいしさを感じて、奥深いですね。亮介さんは何を飲んでるんですか?

長岡

これは、オールド・ファッションド。粗削りな部分と洗練された部分が共存しているというか。ホース・ウィズ・ノーネームというバーボンウイスキーのラベルから想起する印象もあるけど、屈強な田舎のカウボーイがドレスアップしているイメージが浮かぶというかね。

STUTS

飲みやすいですか?

長岡

飲みやすい。スイスイ飲んじゃってすぐに酔っ払いそう(笑)。

岸井

私も顔が赤くなってます(笑)。

長岡

STUTSのモヒートはどんな感じ?

STUTS

モヒートって、僕は家で作ることもあるくらい好きなんですけど、勝手にラムで作るイメージがあったんです。でもこれはベルモットがベースだから、ラムじゃなくてもいいってことを学んで。ブドウジュースのような甘さの中に、ローズマリーやレモンピールの香りが融合して、華やかな味が際立って新鮮ですよ。

岸井

素晴らしい感想!

カクテルの魅力はどこか音楽に通じるものがある

長岡

そういえば、10年以上前に父親と2人で帝国ホテルのバーに行ったことがあって。「ああ、親父もこういうところで飲むことがあるんだ」って思ったのと、そのときに飲んだハーパーのソーダ割りにオレンジピールが入っていたことをこのカクテルを飲んでふと思い出した。

岸井

素敵ですね。さっき養命酒をよく飲むという話をしていたら、バーテンダーの方に「ミルクで割ったらチャイのような味がしておいしい」と教えてもらって。いつも健康のために飲んでる養命酒に、そんな飲み方があったとは!

STUTS

まさに、カクテルには組み合わせの妙を感じていて。「このレコードからこのフレーズを引っ張って、このビートと掛け合わせるんだ!」という面白さや、無限に広がる可能性という部分において、サンプリングという音楽制作の手法と似ている気がするんですよね。

長岡

音楽的だよね。同じお酒を使ってもバーテンダーさんによって味は絶対に違うし、シェイカーの振り方でも変わる。カクテルにもそういう一期一会の魅力があるんだね。

3人がいただいたのは……

左/オールド・ファッションド長岡
最古の一つとされるカクテルのベースを、蒸留したハバネロをブレンドしたバーボンウイスキー「ホース・ウィズ・ノーネーム」に。ビターズとシロップを掛け合わせている。

中/プロヴァンシャル・モヒートSTUTS
ハーブやフルーツの皮を漬け込んで抽出したドライベルモットがベース。地中海沿いで採れるハーブやシトラスを使ったトニックウォーターで割ることで、爽やかかつフローラルな味わいに。

右/モンキー・ウィズ・グアヴァ岸井
ドイツのクラフトジン「モンキー 47」 をベースにグァバジュースを合わせ、仕上げにカクテルグラス上にグレープフルーツのアロマ入りのバルーンを施した、フォトジェニックな一杯。