3つのポイント
1.稀少な台湾茶や独創的なティーカクテルを提供。
2.店主自らカウンターで淹れるバースタイル。
3.予約のみの営業。地元のクリエイターが集う。
アーティストなど感性の鋭い人たちが日々集う場
水河のほとりに位置する大稻埕(ダーダオツェン)エリアは茶葉の交易で栄えた歴史を持つ。2022年にこの地にオープンした〈ASABAN TEA〉は、禁酒法時代のスピークイージーのようなティーサロン。看板はなく、カフェを通り抜け、4階まで上がるとカウンター席が現れる。ほの暗い店内にはジャズやレゲエが流れ、伝統的な茶芸館とは一線を画す。
ここに揃うのは、フルーツのような香りが自慢のミャンマー産「古樹紅茶(クーシュークーシューホンツァー)」(500TWD)や、ウンカに噛まれた茶葉が蜜のような香りを放つ台中産「蜜香白茶(ミーシアンパイツァー)」など、稀少な茶葉。それらを店主のアーサー・チュアンがオリジナルの蓋碗(がいわん)(蓋付き茶碗)で一杯ずつ丁寧に淹(い)れる。
蜜香白茶や梨山茶に日本酒を加えた繊細な味わいのティーカクテルも好評。茶菓子はいわゆる中華菓子ではなく、自家製のみたらし団子というのも意外性がある。
京都の大学でプロダクトデザインを専攻し、茶器の研究をしながら日本茶も学んだアーサー。台湾では宜蘭(イーラン)県にある仏教の道場で禅や台湾茶を学び、「形のない茶道」を実践している。「形式やルールに縛られず、リラックスできる場を作りたい」という思いも抱き開いた同店は、アーティストなど感性の鋭い人たちが日々集う場に。
1930年代の茶会を再現したイベントなどユニークな催しで賑わう。「将来はイタリアや東京にも出店したい」という夢が実現する日も遠くないはずだ。