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半世紀変わらぬハンドメイド裁断。パリ〈PUZZLE MICHELE WILSON〉の木製ジグソーパズル

日本に来て来て、あの店、このサービス!今回は、パリのハンドメイドパズルを紹介。

photo: Shiro Muramatsu / text: Chiyo Sagae / edit: Hiroko Yabuki

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3つのポイント

1.オブジェとして継承可能な美しい木製パズル。
2.絵柄に合わせ職人の感覚でハンドメイド裁断。
3.デジタルオフの一人時間の娯楽に最適。

半世紀変わらぬハンドメイド裁断の木製ジグソーパズル

紙どころか、スマホのアプリでパズルを楽しむ現代に、1975年の創業以来変わらず手作りの木製ジグソーパズルを製造販売する〈パズル・ミシェル・ウィルソン〉。色彩の鮮やかな木のパズルは形崩れもなく、手触りの心地よいハンドメイド裁断のピースは世代を超えて受け継がれている。

モネの名画「睡蓮」は、描かれた花や葉の形を生かし、画面の流れを尊重しながら裁断する。

美術書店のような佇まいのパリの路面店には、西欧美術の名画はじめ北斎や若冲(じゃくちゅう)、地図、現代の人気アーティストの作品など、新作を交え季節ごとに刷新される約250種が揃う。ブルゴーニュのアトリエで、色違いの裏地で同じ絵柄を7枚印刷する木版は、店の一角で職人が裁断する。絵の世界観を尊重して流れを考慮し、モチーフを生かす、人の感覚と手によるその裁断技術は唯一無二だ。

「図版や美術館での鑑賞との違いは、色や風合い、形など細部を手に取り作家の繊細な表現を再発見し、全体像を自分が構築する点。いわば能動的なアート体験」と、裁断後のピースを色別に分ける作業を担うクローディンヌ。「一人で集中する作業はヒーリング効果も」と笑う。

エコで美的なオブジェであり、誰もが絶えず身を置くデジタル環境のオフタイムの心静かな楽しみとして、コロナ禍を境に若い世代のファンが急増しているという。自分にとって価値あるモノを手元に。そんな脱大量消費時代に選ばれるのは、シンプルにして心休まる、クラシカルなジグソーパズルなのかもしれない。

パリにあるパズル・ミシェル・ウィルソン
〈パズル・ミシェル・ウィルソン〉の外観

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